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愛は僕等を救わない
04


あれから一時間経った。ヒナタと別れ7班のメンバーで新しくつく先生を待っているが遅い。遅すぎる。他の生徒はとっくに上忍の先生とどこかに行ってしまったというのに僕の班には一向に来る様子が無い。
痺れを切らしたナルトが何かいたずらしようと黒板消しを持っていた。

「ちょっと!何やってんのナルト!!」

「ニシシ」

何すんだろうと見ていると椅子に乗りドアの一番上のとこに黒板消しを挟んだ。

「ソラもやらねーか?」

『僕は遠慮しとく。見てる方が楽しいし』

「私知らないからね!」

口ではそう言ってるけどなんだかサクラちゃん楽しそう。

「上忍がそんなベタなブービートラップに引っ掛かるかよ」

冷めてるなぁサスケ君。

『もしもって事があるじゃん』

「上忍が引っ掛かるなんて聞いた事ねぇぞ」

『だからこそ引っ掛かったら面白いんじゃないか』

僕も引っ掛かるなんてこれっぽっちも思ってないけど。

ドアが開けば丁度頭に黒板消しが落ちる。

銀髪が特徴的な男性が見えたと思ったらその頭に黒板消しが落ち、白いチョークの粉まみれになった。

『ブッ』

吹き出してしまった。だって…まさか本当に引っ掛かるとは思って無かったから。ナルトはめっちゃ爆笑してる。

「お前らの第一印象はぁ……嫌いだ!」

ガーーン

「「……」」

会って早々突然そんな事言われ空気が重くなった。幾らなんでも嫌いなんて…傷付いた…。





先程は教室で上忍の先生を待っていたが今は打って変わり気を取り直して外に移動した。

「まずは自己紹介してもらおう」

好き嫌いと将来の夢や趣味等を言えと。別に名前しか言う事なんてないんだけどな。

「先生自分の事紹介してくれよ!」

「…見た目ちょっとあやしいし」遠慮気味にサクラちゃんが言った。確かに、顔の半分以上を額当てで覆い右目しか見えない。

「俺ははたけカカシって名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はない!」

言う事はそれだけか。
結局分かったのは名前だけじゃないか。分かりやすいいたずらに引っ掛かったし本当に上忍かと疑う。僕の考えなんて知らず自己紹介は始まる。

「じゃ次はお前らだ。右から順に…」

僕は左側で端っこだから必然的に最後か。

「俺さ!俺さ!名前はうずまきナルト!好きなものはカップラーメン」

嫌いなのはお湯を入れてからの3分間は共感できた。僕も嫌いだ。

「将来の夢はァ火影を超す!!ンでもって里の奴等全員に俺の存在を認めさせてやるんだ!!」

おぉ、凄い目標だ。ナルトならいつか本当に超えてしまいそう。

「次!」

「名はうちはサスケ。嫌いなものなら沢山あるが好きなものは別にない」

うわあ…。

「それから…夢なんて言葉で終わらす気はないが野望はある!一族の復興とある男を必ず…殺すことだ」

殺す…殺して何になるんだか。残るのは何もないというのに。
その言葉にカッコいいとサクラちゃんは頬を赤く染め、ナルトは自分じゃないかと勘違いしている。

恐いと思ったのは僕だけ?

「次!」

「私は春野サクラ。好きなものはぁ…」

そこでサスケ君を見てるから明らかに好意を寄せてると分かる。

「嫌いなものはナルトです!」

ハッキリ言うんだなぁ。ナルトに同情するよ。

「よし…じゃ最後」

チラッと僕を見た。

『如月ソラ。よく空眺めてる。んー…好きなものと嫌いなものは無い。趣味と将来の夢も特に無いな』

「へー…(つまんない子だな…にしても誰かに似ている)」

カカシ先生が僕をじっと見てる。なんか変な事言ったかな…気にしないで置こう。これで全員自己紹介が終わった。

「よし!明日から任務やるぞ」

明日からとはまた随分急な…。僕とは対称的にナルトは楽しそうだ。

「まずは五人だけである事をやる」

『ある事?』

「サバイバル演習だ」

「演習なら々忍者学校で散々やったわよ」

カカシ先生はただの演習じゃないと言い、不気味に笑った。


「卒業生28名中下忍と認められる者は僅か9名。残り19名は再び学校へ戻される。この演習は脱落率66%以上の超難関試験だ」

そんなの僕らが受かるわけないじないか!と吐き出したい台詞を飲み込んだ。詳しい事はプリントに書いてあると渡されその場で解散した。

家路に着く足取りがどうも重い。明日の事を考えると自信ない…いつもだがまたアカデミーに戻るのは嫌だし…頑張るしかないか。




そういえば今朝見た夢の続きはなんだったけ。少女が僕に何か言いかけてた。

「次はその手で――」

その言葉の続きが思い出せない。思い出したくない、思い出してはいけない気までする。が、気になる。

『…やっぱ思い出さない方が良かった』






(次はその手で、誰を殺すの?)




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あきゅろす。
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