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愛は僕等を救わない
03



お昼だとみんな席を立ちお弁当の準備をする。お腹空いたなと僕も席を立つとヒナタが来た。

「お昼ご飯一緒に食べよう?」

『うん』

いつも晴れてる日は外のベンチでヒナタと座って食べてた。木々から射し込む陽が温かいし風が気持ち良くて眠くなるんだよなぁ、あの場所。

二人でいつもの場所に向かって歩く。あ…なんかいきなりトイレに行きたくなってきた。丁度お昼時に汚いけど行きたい…誤解されない様に言うが決して大じゃないからな!

『ごめん、先に行ってて。トイレ行ってくる』

「分かった。行ってるね」

再度謝り「すぐ戻るから!」と付け足して近くのトイレを探しわざわざ教室まで戻るのはめんどうだから近くの建物に適当に入ったはいいが、そこから少し柔らかい表情を浮かべたサスケ君が出ていった。見間違いかと思ったが格好からして本人に間違ない。…不気味だ。

『(あった…)』

やっと見つけた、トイレに向かおうと歩み出すと隣りの部屋で物音がした。
昼間から幽霊?まさか…な。僕は幽霊なんて信じない。実体が無いモノなんて信じられるわけがない。物音がした部屋は体育で使う道具をしまう倉庫だった。
どうしようか…入ってみるか、入らないか…。でも入らなかったら後々自分が後悔するから入ろう。物音の原因を確かめようじゃないか。
思い切って扉を開けた。

ガラガラ

『………』

下の方で何かジタバタもがいていると思ったらサスケ君だった。口はガムテープが貼られており、手は後ろで縄で縛られていた。
…先程見掛けたサスケ君は一体誰だったんだろう?こっちが本物なのか?…幾ら考えたって分からないし助けるか。見てしまったんだし。サスケ君の居るとこでしゃがみ口のガムテープを剥した。

「お前…」

『いいから動かないで』

最初手で縄を解こうとしたがキツかったのでホルスターからクナイを取り出し切った。

『よし、解けた』

「…何のつもりだ」

『別に。目の前で縛られてる人見たら助けるのが当たり前だろ』

「忍者には縄抜けの術ってのがあんだ。これくらい…」

『あーそーですか余計なお世話でしたね』

折角助けたというのに…こういう人か。この人とは馬が合わない。同じ班だから少しでも仲良くしようと…馴れ合う気はないのか。
あれ、ここにいるのは本物のサスケ君?

『…君本物だよな?』

「何言ってる」

『もう一人サスケ君見たから』

「それはナルトだ」

『あー…』

何故サスケ君に?ナルトの考える事はよく分らない。

『なら変な事起こす前に行った方がいいな。んじゃ』

倉庫から出て行こうとしたが呼び止められた。

「おい」

『ん?』

「……いや、なんでもない」

『そう。あとでね』

そう言って今度こそ出て行った。

ソラに言いかけた最後の「ありがとう」という言葉は言えず消化できないまま飲み込んだ。




ヤバいヤバいヤバい!
サスケ君助けてやっとトイレに行けてスッキリしたーとか思ってたら時間がっ!長時間ヒナタを待たせてしまっている。急がないと、足下なんて見ないで走っていたら段差に気付かず思い切り転んだ。

『………』

痛いが声に出さず立ち上がった。手と膝擦りむけてる、痛い。弁当ヒナタに預けてて良かった…。


『はぁ…はぁ…』

息を切らしいつもの場所に向かうと風に髪を靡かせヒナタはベンチに座っていた。

「あ、ソラちゃん」

『遅くなって…ごめ…ん』

「ううん、いいよ。それより足どうしたの?大丈夫?」

さっき転んだ傷か…血垂れてる。

『大丈夫、さっき転んじゃって』

あははと笑ったら「我慢しないで」とポケットから薬を取り出し傷口に丁寧に塗ってくれた。
凄い、血が止まったし痛みも和らいだ。

『ありがとう。それと本当ごめん』

「もう謝らないで。それに走ってきてくれたんでしょ?私それだけで嬉しい」

なんて優しいんだろう。

『ヒナターっ!』

気持ちが堪え切れなくなり勢いのまま抱き付いた。

「わっソラちゃん」

『大好き!』

「…私もだよ」

小声で照れながらも言った。

僕の大切な友達。
ヒナタと友達で本当に良かった。
(勿論、シカマルとチョウジも)








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