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屋上に着き 袋の中から頼まれたものを渡す

最後に残った私用のアイスと飲み物を見てみんな首を傾げた


食欲がないからアイスなら口に入れられそうだと思ったけど
そんな私を見て がっくんはさっき買ってきたサンドイッチをくれた

なんか 悪い事をしたなと思ったけど
サンドイッチを欲していない胃の中に押し込めた



放課後
教室掃除を終え 溜まったゴミ袋をまとめていた人が声をかけた


「ゴミ誰が捨てに行くー?」


みんな嫌そうな顔をして誰も行くとは言わない

私はゴミを持ってる人の元に行きそのゴミ袋を持った


「私行ってくるね」

「みょうじさん行ってくれるの?」

「マジ?助かるー」


笑いながら教室を出て一階を目指す
場所聞いてなかったなぁ

学習しない私


とりあえず一階について辺りを見渡すと後ろの方から侑士の姿が見えた


「侑士!」

「お嬢ちゃん 何しとるん?ってゴミ捨てか」


私が持ってるゴミ袋を見て理解したように私も侑士が持ってるゴミ袋を見て侑士もゴミ捨てに来たのを理解した


「キョロキョロしとったって事は 場所わからんのやろ?」

「…うん」

「一緒に行こか」

「場所教えてくれたら 侑士のも持って行くよ」


侑士の持ってるゴミ袋に手を伸ばすと 逆に侑士が私の持ってるゴミ袋を取ってしまった

慌てて取り返そうにも二つのゴミ袋を後ろに隠してしまい取り返せない


「ちゃうやろ?そこは」

「え?」

「女の子に重たいゴミ袋を二つも持たせて捨てに行かせるやなんて 男として恥ずかしいわ」


にっこり笑って歩き出す侑士
さっきまで両手で持ってたゴミ袋を片手で尚且つ自分の持ってた分もまとめて持っている

…やっぱり みんな力があるんだな

こんな ちっぽけな手が悔しい


「せや みょうじさんって俺の事侑士って呼ぶんやな」

「あっ…」


そうだ 侑士は一個上の先輩で後輩の私が下の名前を呼び捨てでしかもタメ口なんて


「ご ごめんなさい 忍足…くん?あれ 忍足先輩?忍足さん?」

「ええよ 侑士で なんや新鮮やし」


つい いつもの癖でそんな馴れ馴れしく呼ぶなんて
そういえば ちょたの事もあだなで呼んでたしがっくんの事も…

こんな失礼な事をしていたのに 逆に笑って許してくれるとは思わなかった


まだあたふたしてる私に
侑士は頭をぽんぽんと撫でてくれた

あ… 頭を撫でられるってこんなに心地いいんだ
今まで撫でてもらえるような事なかったからか


それとも侑士のまとってる雰囲気だからか
口元が緩んでしまう

口を手で覆い口元の緩みを隠していると侑士は不思議に思ったのか
顔を覗き込んでくる


「どないしたん?」

「…えっと あの…」

「ん?」

「…笑わない?」

「笑わんで?」

「……頭撫でられたの初めてで なんか嬉しくて」


そう言うと目を見開いたあと 侑士は声をかみ殺しながら笑う
あー 変な奴だと思われた


「ふっ く…そうなん?ならもっと撫でたるわ」


さっきまで 優しく撫でてくれたのに頭をかき乱すかのようにわしゃわしゃと撫でられた

髪の毛がぐちゃぐちゃになっちゃう
って 思ったけど思わず私も笑い出してしまう


「ちょ…侑士 やめてよー」

「みょうじさん おもろいな」


そんなやりとりをしているとゴミ捨て場に着き ゴミを置いて一旦侑士と別れた


帰る最中
乱れた髪を手グシで整えながら

まだ 頭には侑士が撫でてくれたって言っても後半はごちゃごちゃにされたけど
そんな感触が残ってる






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あきゅろす。
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