[携帯モード] [URL送信]
.




校内に入ると私の通ってた学校より断然綺麗で広くて
お金持ちの学校はやっぱりいいなぁと思った


「お前の席は俺の後ろだ」


教室に入るとそう言われ
後ろについていく


「おはよー みょうじさん」

「おっおはよ」


クラスの人からの挨拶に戸惑いながら席について辺りを見渡すとさっきのマネージャーの子達がいた

私の名前を知ってたのは同じクラスだったからなんだ



授業が始まると
さっきの騒がしさはなくなり先生の声と黒板に走るチョークの音だけが響く

こっちの世界に来てもやっぱり授業だけは嫌いだ


普段は絵を描いたり こっそり携帯を見て
ノートだけは写していたけど


今は目の前にいる日吉の後ろ姿を見るのに必死



相変わらず 背筋はピシッと伸びて
皺一つないワイシャツ

黒板は若干見づらいけど 視界のほとんどを日吉によって覆われてるのは悪くない



けど
ふとした瞬間に目の前のワイシャツをぐしゃぐしゃにしてしまいたい衝動に犯される

底にある黒い気持ちが浮上してきて
私自身の存在価値を問うのだ


そして その問いの答えを見いだせない私は黒いものにのまれ
目の前の綺麗な存在が眩しくて同じくらい汚れてしまえばいいと思ってしまう



それではいけない
私はここの世界のみょうじなまえになりきらないといけないんだから


そんな格闘を数時間繰り返していると
昼休みを告げるチャイムが鳴り

教科書をしまっていると クラスの女子が数名私の周りに集まってきた


「みょうじさん 一緒にご飯食べない?」

「え…と」


「…おい 行くぞ」


返答に困っていると 前にいた日吉が弁当の入った包みを持って立ち上がり教室を出て行く


慌てて 私は財布を持ち周りにいた女子に頭を下げて日吉のあとを追った


そういえば 極力誰かと仲良くなるような事はするなと跡部に言われた事を思い出す

この体の持ち主のみょうじなまえが戻った時に面倒だと言っていた



日吉のあとを追うと屋上に着き
ドアを開けるとすでにみんな揃っていて各自昼ご飯を食べていた

R陣に囲まれながらご飯を食べる立場にいれるこのみょうじなまえが羨ましい


きっと この屋上もテニス部がいつも占領してんだろうな


「おせーよ!日吉 みょうじ」

「あれ?みょうじ昼飯は?」


宍戸の言葉で自分の昼ご飯を買ってない事に気づく
日吉のあとを追うのに必死で途中購買に寄るのを忘れていた


「私買ってくるね みんな欲しいものある?」


みんな 目の前に広げてるもの以外にもそんなに食べるの?
って言いたくなるような追加メニューにびっくりしながら 階段を降りていく


が 購買の場所も自販機の場所すらも知らない事に気づいた

また戻って聞くのも馬鹿みたいだしと考えていると下からちょたが階段を登ってきた


「みょうじさんどうしたの?」

「お昼買ってなくて」

「あ 購買の場所わからないよね 一緒に行くよ」

「場所だけ教えてもらえたら大丈夫だよ」

「俺も飲み物買おうと思ってたから」


にっこり笑うと今登ってきた階段を手招きしながら降りていく


購買で買う量を見て私が食べるのかと思われたけど
先輩達の分だと話すと大きな袋に一つにまとめて私のお昼の分まで持ってくれた


「ちょた ごめんね」

「一緒にきてよかったよ みょうじさん一人でこの量は大変だったよね」


先に階段を登るちょたの後ろ姿から見える大きな袋を軽々と持ち上げているのを見て
代わりに持つと言ったちょたの弁当箱を持つ力が自然と強くなった





*#

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!