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私の家の隣に二つ上の女の子がいた
幼いながらにも顔立ちは整っていて頭もいい
そう まさに才色兼備



同級生の友達はいたけど
私は彼女と遊ぶ方が楽しかったし
彼女自身周りとあまり関わりを持とうとしていなくて


ちょっと我が儘だけど

よく 物をなくしていた私に優しく笑いかけて一緒に探してくれたり
見つからなかったら言い訳も考えてくれたりと優しいところもあって


そんな彼女の為ならなんでも出来るくらい憧れていた




その彼女の他にも
近所に三つ上の男の子がいて
彼女と遊ばない日はよく彼と遊んでいた


喜怒哀楽をあまり表に出さなかったけど
彼といるだけで心が温かくなれる人だった


そんな彼のことを好きになって
中一の秋
私は思い切って告白をすると彼は頷いてくれて

有頂天になりながら彼女に真っ先に報告した




『なまえちゃん…ごめん 俺はやっぱりなまえちゃんの事妹としかみれないや』


『好きな人が出来た なまえちゃんの隣の家に住んでる彼女の事が好きなんだ』


意味がわからなかった

だって 彼にも彼女にもお互いの話はしていたけど
お互い関わりがあるなんて知らない


言葉が出なくてただ彼を見つけていると
彼の後ろからひょっこりと彼女が出てきて にっこりと笑い彼女は彼の腕に抱きついた


『私達 付き合ってるの』


彼の腕から離れた彼女はそっと私の耳に顔を寄せ


『貴女のなくした物は全部私が盗んだの だって欲しかったんだもん、下等な貴女が持ってる意味がないじゃない?』

『なまえちゃんに彼の事聞いて見に行ったら一目惚れしちゃった 貴女とは不釣り合いでしょ?』


そう言って離れた彼女が再度彼の腕にしがみつくと彼は私が見たことない照れた表情で彼女の頭を撫でながら私の隣を通り過ぎた




「……ぅ…そ だ…………待ってっ!」


あの時言えなかった言葉を叫んで
手は空中に伸びていた



跡部に慰めてもらったあと
家まで送ってもらい 私は初めてこの家で眠る事にした

跡部は何度も私に優しく諭してくれたから
やっと 重い瞼を閉じて身を沈められたのに


「…なんで 今っ」


あの後 彼女は彼と同じ高校に受験して春から一緒に通っている

二人を見かける事はなくなったけど
二人にかけた私の時間は全て意味を成さないものだった事を徐々に実感したのと同時に


私はそれだけしかなかった


学校の友達の中でも便利屋の私は
そこから抜け出せる術を知らなかった

友達も彼女達と同じように思っていたらと考えるとどうしても怖いのに



今までそうしてきた事で得た私の価値
それを失ったら私なんか存在すらも許されない気がした


「っはぁ はぁ…ちが…っう ちがう…」


左手首を握る力が強くなる




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