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放課後
部活に行く前に なまえの教室を覗くとなまえは帰り支度をしとった


あの後なまえは不自然なくらいに笑顔を振りまいとって

放課後もテニス部に行くか?
って聞くのも躊躇してまう



スクバに教科書をしまい終えたなまえは席から立ち近くの友達にまた笑顔で会話すると教室から出てきて俺を見つけた


「光くん?」

「おう」

「どうしたの?」

「あー…放課後の部活 どないかなと思うて」


なまえは一瞬目を見開き顔を歪めた
朝の事を気にしとるんやろか


「えっ…と…わ 私やっぱ邪魔に……」

「邪魔とか関係あらへん!…なまえが行きたいかどうかや」

「…」


なまえはそれっきり黙った
本音はなまえと一緒に居りたい

せやけど 無理矢理笑うなまえは見たない

そんな気持ちが渦巻く


「…今日は 無理せん方がえぇかもな」

「あっ 光くん…」

「家でゆっくり休みや」

「待って光くん!」

「…なんや?」

「私っ 私ね!っ…光くんが…忍足先輩がっテニス部の人達が嫌いって訳じゃないの…っ……ごめんね それだけは…」


なまえはそう言うと廊下を走って行った

俺は黙って後ろ姿を見送ると部室に向かった


「…あれ?なまえちゃんは?」

「今日は用事あるみたいで来れへんやって」


一人で部室に行けば
朝なまえが居ったから来るもんやと思っとった先輩らは不思議そうな顔で俺を見とった

さっさと自分のロッカーに向かい着替える


「…俺のせいやろか」

「はっ 謙也先輩如きのせいで来んのとちゃいますわ 自意識過剰も程々にしてくれません?」

「なんやと!?」

「ほら 喧嘩せーへんの!練習始めるで」


着替え終わってコートに行っても
いつも以上にやる気が出んのはなまえが居らんからやろか

朝のなまえのあの顔は普通やなかった


部活以外でどうやって接点を持てばええんやろか
なまえのあんな顔なんや 見たない


せやけど…だらだと
俺はどないしたらえぇねん




ダラダラと長ったらしい部活がやっと終わり一人で帰り道を歩く

近くのコンビニ前を通る見慣れへん制服を着た女が出てきた


…なんで居んねん
向こうは俺に気づかずにビニール袋の中からアイスを取り出すと封を開けようとした所で俺に気づいた


「ひっ光くん!」

「なんでこんなとこ居るん?」

「あっアイス食べたくなって…」

「歩いて?」

「…公園行かない?」


なまえに言われるがまま公園に行きベンチに腰を下ろすと
ビニール袋の中から俺の好きなジュースを取り出し俺に向けるから受け取りキャップを捻った


「…家帰ってへんの?」

「なんで?」

「制服のままやし スクバ持っとるし」

「あ…」


なまえは更に気まずそうな顔をしながらアイスを舐める
こんな時間まで何やっとたんやろか
ずっと一人で居ったんやろか

考えれば考える程
本当は放課後一緒に部活に行った方がよかったんとちゃうかと思えてしゃーない


「…光くん」

「なんや?」

「私ね 小さい頃から弱虫だったからいつも光くんに頼ってたでしょ?でも引っ越して離れちゃったから強くならなくちゃって思ったの」

「…」

「でも 強くなるって難しいね…私はどうやったら光くんみたいになれたのかな」

「なんかあったんか?引っ越し先で」

「…そろそろ家に帰らなきゃだよね?帰ろうか」


なまえはその後
何も話さず家まで送るとまたなまえの家には電気が着いとって

なまえはそれを寂しそうに見ると家に入って行った


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あきゅろす。
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