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朝家を出ると玄関前でキョロキョロしとるなまえが居った

自然と緩む口元引き締めて なまえの名前を呼んだ


「ちゃんと待っとったんやんな?」

「おっ おはよ 光くん」

「はよ」


俺が歩き出すとなまえは相変わらず間を空けながら隣を歩いた


「練習見にくるん?」

「えっ…と…」

「まぁ 学校着いてからでもえぇわ」

「…うん」


そのまま無言で歩いとるとあっという間に学校に着いてしもうた


「どないする?」

「私…なんかがいても迷惑じゃ ないの…かな?」

「迷惑やったら最初っから誘わへん」

「…じゃあ 一緒に行ってもいい?」

「早よ 部室入るで」


一緒に部室に入ると先輩らは皆居ってびっくりしとった


「財前 なんでなまえちゃん居るんや?」

「朝練の見学っスわ なんや問題でもあるスか?」

「なまえちゃん テニス部のマネージャーやる気になったということか?」

「そんなん どっちでもえぇやろ謙也 嬉しい事やん 財前見学って言うことは手伝ってくれるっちゅー事でえぇんやろ?」

「好きにしたらえぇっスわ」

「よ ろしく…お願いします…」


俺は適当に部長に言うと 着替えた

なまえも更衣室に向かい着替えとると先輩らは嬉しそうになまえの話題を続けた


「なまえちゃん このままマネやってくれへんやろか?」

「仕事も楽になるし 部活に花が出来るな」

「むさっくるしいテニス部にもやっとやる気出てくるわ」

「むさっくるしいってなんやねん!小春というオアシスが居るやろ」

「小春は男やん…」

「ワイも同じ女友達が出来るやなんて嬉しいわ」

「せやから 小春は男やん!!」


先輩らは余程 昨日のなまえを見てえらい気に入ってくれたみたいやんな
正直 あんまりなまえと仲良うなってほしないとも思うけど


「おっお待たせしました」

「なまえちゃんも着替えてきた事やし ミーティング始めよか」


今日の朝練について ミーティングが始まると
なまえはおどおどしながら俺の隣に座り真剣に話を聞いとって


これが 毎日の風景に変わったらえぇなぁ
なんて思いながら 練習が始まった



放課後の練習より早く終わり
授業に間に合うようにさっさと 片付けをする

なまえもしっかり片付けに参加しとるけど
テニスボールがいっぱい入ったカゴを持ち上げてフラフラしとって

そんなん持たんでええのにって思うとると近くに居った謙也先輩がなまえの代わりにボールを持とうと手を差し伸べてた


なまえは戸惑いながらも カゴを渡そうとした時
流石に重さに耐えきれへんかったのか 体制を崩してしまいなまえは倒れそうになった


「危ない!」


間一髪で 謙也先輩がカゴを受け止め
ボールは散乱させずに済んで安心したけど 様子を見になまえに近づくとなまえは謙也先輩から勢いよく離れた


「っ!あっ あの…っ」

「ど どないしてん?なまえちゃん?」

「はぁ はぁ はぁっ」

「なまえ…?」


なまえは顔を真っ青にさせながら
呼吸も乱れとって明らかにおかしい

なまえを呼んで 肩を叩こうとすると叩く前に気づき目を見開くと
ハッとしたように笑顔を作った


「おっ 忍足、せんぱ…すっすいません」

「おう なまえちゃんは怪我せんかった?それとも俺がなんや気に障る事でもしたんやろか…顔色悪いし」

「なんでも ない…です すいません私あっちの方片してきます」


なまえは気まずそうに走って指差した方へと行った
俺は間抜けな顔しとる謙也先輩に近づき背中を小突いた


「うお!?ざっ財前!なにするん!?」

「謙也先輩こそ なまえになんや変な事でもしたんちゃいますか?」

「俺がそんなことするはずないやろ!」

「そうっスね ヘタレ先輩が女の子びびらすような事出来ませんもんね」

「なっ!何言うとんねん!!なまえちゃんとはその…ちょっと手が当たってしもうただけや」

「先輩 バイキング扱いでもされとるんとちゃいますか?」

「なっ…」


ショックを受けているであろう謙也先輩は無視で
背中しか見えへんなまえを見つめた


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