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忍足謙也の場合






「侑士!!大丈夫か!?」


病室に入ると侑士はベットで横になっていて
今まで見たことがないくらい弱り果ててた


「ほら!侑士 謙也さんと謙也さんの奥さんのなまえさんと息子のケンタくん来てくれたで?」


ベットに脇に座ってた侑士の嫁さんが俺達を侑士のベット脇に招いてくれた


「ほんまかぁ…?」

「ほ、ほら!!侑士見ぃやケンタこんなに大きなったんやで?」

「ケンタ…大きなったなぁ…」

「おじさん…危篤ってなんなん…?」

「…せやなぁ」

「ケンタおじさんお墓入るん…嫌か…?」

「いやや!」

「…そうかぁ」

「ケンタ 自分がまだ小さい頃今以上におとんが忙しゅうくてな よく侑士おじさんが遊んでくれとったから『おとん』って言うとったんやで?」

「そうなん?」

「…そうね 侑士おじさんが仕事帰りによく家に来てくれたからお父さんより顔合わせてたもんね…」


侑士より早く結婚した俺は
親父の病院を継ぐ為に殆ど家には居らんかった

侑士は今の嫁さんと長いこと付き合うてたけど
まだ 結婚まではしとらんかった


子供が出来てから
まだ 結婚しとらんかった侑士はめっちゃ可愛いがってくれて
俺よりも息子に構ってくれてとったから
いつの間にか 侑士を見て『おとん』って言うようになった



ピッ…ピッ…ピッ…

あまりの息子の溺愛っぷりに
顔を合わせる度によぅ喧嘩したなぁ

けど 今はそんな事も出来ん


嫁さんもやっと結婚したとこやのに…
嫁さんは侑士の手を握り侑士から一歩も離れようとせんかった


「…なぁ」

「何 侑士!?」

「謙也もこっち来てくれへんか…?」

「どないしたん?侑士?」

「この事は…墓まで持っていこ思うてたんやけど…」

「な、なんやねん…侑士いきなり…」

「……一度だけ…ホンマに 人生で一度だけや………不倫、してしもうた…」

「…は、ははは……なに言うとるん?侑士ー今の嫁さんと な、長かったし…一筋やと思っとったんやけど 意外やな!はは、」

「……子供…身ごもらせて……しもうた…」


流石に驚いた
あの 侑士がそんなアホみたいなミスなんかしとるなんて…


「…その子…どないしたん…?」

「……すまんなぁ…ホンマに堪忍…や、で…」

「っそれは俺に言うことちゃうやん…嫁さんに言わな、」


嫁さんは目を見開くとゆっくり侑士の手を離した




ピーーーー…


どんっ

後ろから俺は押し退けられて尻餅をついた

俺をどけた人はなまえやった


なまえは俺を押し退けて侑士にしがみついて泣いとった


「ゆ、ゆうしぃい!!ゆうしーー ゆーしっ!うわあぁああぁぁあ」


なんで
自分が侑士になきついとんねん

なぁ
侑士なんで自分が不倫した話俺に謝るん


…なぁ
侑士 ケンタは
俺の息子…やんな?














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