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愛してた時間分の投薬((忍足




一緒に居た中でも多分ずっとずっと不安やったんやろうな…

すぐ名前の気持ちは何処か遠くに行ってしまうんやないかって…




【愛してた時間分の投薬】






「……明日、会えるやな…」


俺は本気でテニスに打ち込むのを高校で止めて

親父が通った医学部に通いながら親父が働く大学病院にも行き医学を学ぶ事にした


別にこれは強制やなかったけど
自分で考えた結果や

後悔もしとらん



…一つ以外はな

好きで好きでしゃーなかった名前を一人置いて行った

医学を学べるなら別に親父が居るところじゃなくてもよかったんやけど


内心はどうせだったら親父の技術を間近で学びたいという気持ちもあって

それをいとも簡単に見破った名前が俺の背中を押してくれた



やっぱり勉強は大変で名前に連絡やってなかなか出来んくて

それでも名前は俺が少し余裕が持てて電話すると明るい声で話し掛けてくれた

それがどれ程俺の気持ちを救った事やろうか…



でもな もう心配する事なんかないんやで?

明日からは名前の傍に居れるんや


就職先は名前の住む街の近くの病院で働く事にした
大学病院に居るのもそれはそれで楽しかったんやけど

せやけど やっぱり名前が傍に居らんのは堪えられへん


せやって4年やで4年
4年間も名前に会えんかったのは
どれほど苦痛やったか…

それがずっとずっと続くなんて絶対堪えられへん



せやから傍に居る事にしたんや

明日名前の驚く顔、楽しみやわ






―――――…


「はぁ 疲れた」


電車で長いこと揺られてやっと見慣れた街に着いた

せや 此処が俺をテニスに名前に燃えさせた街や

名前にはなんも知らせんで来たからめっちゃびっくりするやろうなー


なんてめっちゃウキウキしながら4年前の記憶を頼りに一人暮らししとる名前のマンションに向かった



「…此処や此処」


デッカいマンションのエントランスのインターフォンに名前の部屋番を押す

いつも休日は家に居る言うてたし 今昼やから大丈夫やな


インターフォンに出た瞬間俺の事わかるやろか
最初なんて言う?きゃって悲鳴あげんかな?

めっちゃドキドキしてきたわ

早うでーへんかな?




何分か待っても一向に出てこない名前…

寝てんのかな?それとも部屋番間違えたか?


待ってるとマンションの住人が下りて来て自動ドアが開いたから勝手に上がる事にした


名前の部屋の前まで来ると

表札にはちゃんと名前の名字が書いてあってやっぱ間違えてへんかったんやな

俺はインターフォンを鳴らした



『……はい、どちら様?』

「…俺や俺」

『!…侑士……な、なんで…?』

「久しぶりやな名前」

『えっ こっちくるなんて…ここ1年連絡すら……取って…なかった…のに……』

「名前驚かそう思うてな 早う開けてや」

『えっ ちょ、ちょっと待って…今日は帰って』

「?なんでなん」

『へ 部屋散らかってるし…ね寝起きだから頭とか…ぐしゃぐしゃだし…』

「そんなん気にせんで?」

『今日は駄目な『ふぁー 名前何やってんだよ?』

「!…誰や……」

『ち 違うの…侑士『侑士?あぁ 連絡途絶えた元カレか 何今更ヨリでも戻そうってか?ははは!今の彼氏は俺だよー』






その言葉を聞いた後俺の記憶はなくて


気がつくと 右手の拳がズキズキと痛くて血がついとって
俺のマンションに名前が居った

それから俺は大学病院で学んだ薬剤の知識や精神的な知識を駆使して 名前を俺しかわからんようにした


俺がわざわざ親父の大学病院で学んだ知識はこれに役立てる為やったんやな

俺はずっとずっと不安やった…
せやけど この知識と技術があれば…もう怖がる事はないんや





((いくら心が麻痺したって俺の大切な…大切な…)

異常..★


090804


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あきゅろす。
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