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好きな筈なのに((山本




好きだ って気持ちは確かなのに

最近、それ以外の気持ちが邪魔する

なんなんだ…これ?




【好きな筈なのに】






「あっ 山本!」

「おっ 名字じゃん 久しぶりだな」

「風邪で1週間も休んじゃったからね」

「もういいのか?」

「平気だよ」


名字はニコニコ笑いながら俺の質問に答えた

1週間好きな奴の顔を見れなくて正直落ち込んでたけど…


今はこんな笑顔が見れたからいいかと思う


「そういえば「あっツナ!」

「名前ちゃんもう風邪は大丈夫なの?」

「勿論!」

「よかった あっ山本お早う」

「…あぁツナ オッス」


遠くから歩いてくるツナを見つけると名字は一目散にツナの元へ行く

名字はツナの事が好きだから


本人から聞いた訳じゃねーけど
そんなのいつも名字の事を見ていればいくら馬鹿な俺でも簡単にわかった


「あっそうだ ツナ休んでた分のノート貸して」

「えぇ!?お 俺の?…字汚いよ?」

「大丈夫!」

「山本から借りた方がいいんじゃ…」

「…駄目なの?」

「いいや 駄目じゃない「じゃあ貸して!」


ツナより俺の方が字が綺麗なのは名字はわかってるけど
やっぱり 好きな奴のノートを見たいんだろ?


でも
なんで俺じゃなくて ツナが好きなんだよ


頭だって少し俺の方がいいに決まってるし

ルックスだって運動神経だって俺の方がいいのに



最近よくこんな事ばかり考えちまう

あだ名がダメツナってくらいだからそんなの今更比べなくったっていいのにな





「…ただいま」


今日も名字はツナにベッタリで
俺なんて 眼中にないのも同然だった


苛々する…




『…お前が幸せになるなら、俺がお前を幸せにしなくたっていい…お前が幸せなら…』

『……本当にごめんね…有難う 貴方はやっぱり私にとって大切な友達だわ』


「おー武お帰り」

「親父何見てんだ?」

「あぁ昼ドラだよ なんも見るもんなくてな」

「ふーん」


俺はそのまま自分の部屋に行き
ベッドに寝っ転がってさっきの気持ち悪い台詞を思い出す


「お前が幸せになるなら、俺がお前を幸せにしなくたっていい、…ね」


俺はそんな事言えねーな
そこまで思える程俺は優しくない…


…でも どうせ叶わぬ恋ならそのまま応援した方がいいのか?




―――――…


「オッス 名字」

「お早う山本」

「…なんかご機嫌だな?」

「え わかる?あのね昨日ツナにノート貸してもらおうとしたらツナたったらノートどっかになくしちゃったの」

「へ?じゃあノートどうしたんだ?」

「一緒に最終下校時間まで探したんだ」

「見つかったのか?」

「うん!なんか下駄箱のとこにあった」

「ははは、なんじゃそりゃ」

「帰りはツナが私の家まで送ってくれたんだけど 私の家に着いた時に謝ってきたの『名前ちゃんと一緒に居たくて自分で隠した』って」

「…ぇ」


頬を赤くしながらはにかむ名字
…なんだ 両想いだったのか


ツナも名字の事好きだったなんて
知らなかった

あー


「苛々する…」

「え?」

「ちょっと来い」

「や、山本!?痛いよ!放して」



俺は名字の意志を無視して人通りの少ない路地に連れてった


「山本…?」

「俺な…名字の事好きなんだ…」

「えっ 嘘」

「でも お前…ツナが好きなんだろ」

「うん…」

「あー苛々する」

「ぇ?」

「苛々する苛々する苛々する」

「…っ…!ぐふっ」









「はぁ はぁ はぁ…」


気がついた時には俺の苛々は消えた
でも代わりにサンドバックのように殴りまくった名字が



ぐちゃぐちゃの顔で
血まみれになってて


でも 不思議な事に俺はこんな名字でも好きだと思ってしまう


他人とでもいいから幸せになるように祈るのはやっぱできねーや





((俺はどんな姿になってでも、俺だけのものにしたかったみたいだ)

狂愛..☆


090721


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あきゅろす。
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