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10000Hitフリー小説
だって君は手に入らない((ベル




オレ以外誰もいらないって思ってた
それはいつになっても

いつまで経っても変わらない



なんて 本気で思ってた


それは 事実から逃げてただけなのかもな

事実から背を向けて


決して振り返らずに



オレの考えは間違ってないんだって

必死に頭に刻んでただけなのかもしれない




【だって君は手に入らない】






「ベル…なんで部屋から出てこないの?」

「お前うざい早く居なくなれ そうしないと殺す」

「…ごめん」


部屋からなんか出たくない

だってそうすると見たくもない顔で溢れかえってる


オレ以外の人間で溢れてるなんて
そんなの無理



嫌だ

嫌だ

嫌だ…


だって オレは王子でも

双子の弟だから



大きな権力はない

さっきだって部屋に来てくれた名前は
生まれる前からアイツの許婚だって決まってた



なのに 名前は毎日欠かさずオレのとこに来る

オレはいつも嫌な態度を取って

殺すとか
死ねとか


そんな言葉ばっか言ってるのに





そんな日々を馬鹿みたいに繰り返していると


突然 廊下の奥で大きな音と悲鳴が聞こえて

耳障りな音だなと思ったけど 特に気に止めなかった



でも 今思い返せば

その時からだったかもしれない


その時から名前の声を聞かなくなったかもしれない



清々した気持ちと
何故か物足りないと思う気持ち

両方が入り交じって


そんな日が何日も続いたある日




ドアを叩く音がした

メイドか誰かが料理でも持ってきたんだろう

そう思ってほっといたけど
ドアを叩く音はまたリズムよく鳴る


ムカついて 少しだけドアを開けてナイフを投げると
小さな悲鳴が聞こえた


ナイフが当たった?

ドアを開けて廊下を見ると何日も来なかった名前が
廊下の壁にもたれて顔の真横に刺さってるナイフに震えていた


「っ び、びっくり…しま…し た」

「…名前か なんか用?」

「えっ…と…」

「なんで何日も来なかったワケ?」

「……え…」



久しぶりに聞いた名前の声

少し耳につくけど それ程不愉快じゃない名前の声


けど なんか様子…変?



「べ ベル…フェゴール様…?」

「…は?」



あれ?
確か前まで『ベル』って…


「こ…ここは、ベルフェゴール様の…お部屋、だったんですね…すすいませ…やっとベット生活から…抜け出したので……探索を…」

「ベット生活…?何ソレ」

「わ 私もよく覚え「ハキハキ喋れよ!!」


確かに名前は物事をはっきり話すタイプじゃなかったけど
こんなにノロノログダクダ喋る奴じゃなかった


「ベール 名前をいじめんなよ」

「…なんでお前が此処にいんだよ」

「名前の悲鳴が聞こえたから一応許婚をベルに傷を付けられたら困るし」


アイツはニヤニヤ笑いながら名前に近づく

名前は涙目になりながらアイツに抱き着いた



「うししし…見せ付けてんの?他所でやれよ 殺すよ?」

「殺せるもんなら殺せよ…まぁもうお前が知ってる名前はシンダけどね」

「…意味わかんねー」

「名前さ 階段から落ちて記憶喪失になったんだよね

こないだの大きな音の原因だよ」





((気付けなかった、あの時オレが駆け付けたらどんな未来が待ってた?)

切..☆


090302


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あきゅろす。
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