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10000Hitフリー小説
その笑顔が((六道




小さい希望の中にある大きな絶望


それが今の僕の気持ち

期待した分だけ 絶望は大きいのもの

そう



期待した分だけ




【その笑顔が】






毎日毎日つまらない日常の連鎖

この日常から逃げる事など出来ません


だからせめて夢の中では
僕の望む世界を願ってはいけませんか








『ねぇ 六道くん寝てるの?』


『寝てる姿はなんか可愛いね』


『睫毛長い 綺麗な肌…』


『ねぇ 六道くんが羨ましいよ』





「バイバイ…」







机に伏せていた体を起こせば外は綺麗な赤い赤い夕焼け空


最後に聞こえたリアルな声


「……夢、だったのでしょうか」

夢の中で見た彼女の顔は半分くらい掠れててよく見えませんでしたが

その声と背格好で彼女だとわかりました


でも今じゃ確かめようもない事を考えてると頬が濡れてる事に気付き
それを指で拭って舐めてみると微かに塩の味がしました


「名前…?」


夢に出てきた人物の名前を呼んでみますが

この教室には僕一人しかいませんから返事などは返ってきません



「…気のせいですね、自分の都合のいいように考えただけの「キャーー!!!!!!」


いきなり僕の声を遮った女生徒の悲鳴が外から聞こえ窓の方へ足を進めると



「…え……」














グシャ…




その窓を開けて下を見下ろすと花壇のレンガに頭をぶつけ
血を流した女生徒がいて悲鳴を聞きつけて他の生徒が集まっていました




「名前…なんで…」






悲鳴を聞いて窓を見たら赤い赤い夕焼け空を隠すように

涙を流しながら落ちていく名前と目が合いました



その瞬間は、本当にスローモーションで
夢で見た顔の掠れた名前じゃなくてはっきりとした名前の顔が

妙に脳に強く焼き付きました



名前が落ちていく時に泣いてた証拠に窓には数滴の水が付着して

それを指先で拭き取って舐めると
さっきと同じ味がしました



「…なんで、涙を流しながら死んだのですか?
なんで僕の前で涙を流したんですか?」



自惚れていいですか…?

たった今命を絶った人間に



正直な話
名前と話した事は片方の手で足りる程しかした事がありませんでした


でもたまにみせる不器用な笑顔が可愛からしかったのですが

もう頭の中には落ちていく名前しか思い浮かべる事が出来ません




…そういえば
最初に貴女を見つけたのは貴女が今いる花壇でしたね

そこで一人
踏み荒らされた花壇を直していました


一つしか残ってないまだ蕾の花に水をやり肥料をやり
手を泥だらけにして雑草を抜いて


馬鹿みたいに一生懸命に




今日咲いたばなりのその綺麗な白い花は
貴女の血で彩られ汚くなってますよ?


結局は自分で駄目にして…

本当に馬鹿ですね





((貴女の本当の笑顔を知らないまま貴女はこの世から去っていった、妙な期待だけを残して)

悲恋..☆


081011


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あきゅろす。
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