[携帯モード] [URL送信]

10000Hitフリー小説
弱虫なお前の最初の我が儘((日吉




好きになってしまった

今ではその思いが積もるばかりで胸が苦しい程


…でも、それが弱虫なお前の願いなら




【弱虫なお前の最初の我が儘】






名字との出会いはたまたま席が隣になっただけの

どこにもありそうな出会いだった



まさか この出会いが俺に非日常を与えてくるなんて

思ってもみなかった




席替えをして1週間
特に何も話さず時は過ぎていった


女子は話し出すと長いしあのぶりっ子口調は堪え難いものがあるから丁度いい

どちらかというと名字は派手ではなく大人しく真面目な方だから


次の席替えまでろくに話さずに終わるだろうと思っていた




そして2週間目
日直が回ってきた

俺は毎月一回はあるこの日が嫌いだ

日直の仕事は意外と沢山あって最後のしめの日誌を書く頃には
早くて部活終了1時間半前


俺としては1日も早く跡部さんに下剋上したいのに
僅かしか練習ができないこの日が嫌いだ



だからこの日は少し苛立ってた


それに最近発覚した事実がある
同じクラスでも話したことがなかった為知らなかったが名字はドジだという事



こないだは英語の教科書と国語の教科書を間違えて持ってきてた
(多分【語】が同じだからだと思うが教科書の大きさと開く向きからして違う)


その前はファイルから出して整理してたルーズリーフを風で半分飛ばされてた
(最終的に何枚かなくなってたみたいで友達にノート借りてたな)


こんな名字のドジっぷりをみて早く日直が終わる訳がない

実際日誌を書き終わった頃には部活はもう終わる時間だった


途中 時計を何度も見て『先に部活行ってもいいよ』と繰り返し言われ

何回か教室に一人で残ってるのを見た事があったのは
日直のもう一人を先に帰して一人でやってたんだと思った


確かにあれだけのドジっぷりを見てたら誰だって苛立ちを覚えるだろう

この時の俺も苛立ちはピークだった

だから言われた通り名字に仕事を任せて部活に行こうと思ったが


ドジをしても頑張る名字を置いて行くのは不安でもあり
何故かほっとけなかった



この日以降俺は名字のドジをフォローするのが日常になり
その中で名字との会話も増えていく

そんな俺の非日常が始まっていた




その後席替えをしても近くの席でこの関係は終わらずにいて
俺は名字に対しての思いに気が付いた






そして今日
俺は名字に告白をする決心を固め屋上に呼び出した



「日吉くん 話しって?」


屋上のドアを開けて俺を見つけ歩いてくる名字と俺の距離は自然と縮まっていく


「……回りくどいのはお前が理解出来ないと思うから単刀直入に言う」

「?うん」

「…名字が好きだ」

「……っ…」


名字は顔を強張らせてみるみるうちに顔を赤らめていく


「…え?じょっ冗談は止めようよ」

「冗談なんかじゃない」

「……今の関係じゃだめなの?」

「あぁ」

「と、友達でいいじゃん」

「なんでだ?俺の事嫌いか?」

「……っ 友達には別れがないけど恋人には別れがあって、いつかくるその別れが嫌…」

「そんな事はありえない」

「でも」

「なら 待つさ お前が俺を好き過ぎて離せなくなる時まで
俺は名字の事を好きでいる自信があるからな」





((どんなドジしたって俺を頼らなかった、可愛い最初の我が儘)

甘?..★


080907
訂アリ


[次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!