解散、カイサン、かいさん…その4字が頭の中で渦巻いている。解散ということは行き場をなくしたということ。家を出て何年も帰ってない私にとって、あの場所はもう帰る場所ではない。アポロさん、いきなり解散なんて無責任じゃありませんか。はしくれ者の集まりの集団が、簡単にまっとうに生きられると思っているんですか。
周りを見てみれば、私同様困惑した表情をしている。
「無責任だということは百も承知です。しかし心配はいりません」
心配いらない?ざわめく一同。
「私は製菓会社を経営することになりました。だから行く宛てのない者はそこで雇いましょう」
したっぱたちは両手を上げて喜んでいる。しかし…アポロさん…まさかロケット団の裏でそんなことをしていたとは……。もし解散しなかったら両立させるつもりだったのだろうか…。
「ランス、アテナ。お前らはどうする?」
「そうね…アタクシは…やってもよくてよ。そういうラムダは?」
「オレはやらない。ロケット団だったから手を組んだだけだしな」
確かにラムダの言う通りだ。それならば。
「私もパスです」
「あら、でもランスあなた…家族のことは…」
「気にしないで下さい」
僅かではあるが1人でなんとかやっていけるだけの金はある。大丈夫だ。
「…ランス…」
アテナ、あなたに心配される義理はありませんよ。ラムダの言う通り、たまたまロケット団でこのメンバーになっただけのこと。ただそれだけ。
「でもそれって悲しいわねえ」
ポツリとアテナがつぶやく。
「まあ、2人とも気が向いたらアポロの会社にいつでも来なさいね」
アポロさんの「それでは解散です」という言葉と共にその場を離れたのは私とラムダと数人のしたっぱだけだった。
「…終わったな…」
「ですね」
しばらく無言で歩いた。そして。
「オレはこっちだから」
「そうですか」
「…元気でな」
「あなたも」
ついに1人になった。さて、これからどうしようか。すぐ近くからは幼い笑い声。気になって行ってみれば自然公園からだった。ああ、平和だ。
なぜか寂しい晴れもよう
100403
title:ひよこ屋さま
::「それぞれの〜」のちょっと前のお話みたいな感じです。多分続きます。
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