「トリック・オア・トリート」
ハロウィンという行事を知らないわけではなかった。しかし、今日がハロウィンだということは忘れていた。そもそもこの忙しい時期にそんなお遊びをやっている暇なんてないだろう。それに。
「ラムダさん、あなた…いくつです?」
小さな子どもならともかく、なぜ、良い歳したオジサンがそんな格好をして菓子をねだるのだ。
「仕方ねえだろ、」
続きは言われなくても分かる。原因は恐らくアポロさんだ。アポロさんは最近自分が甘党だということを公言している。
「アポロにハロウィンだから菓子集めてこいって言われちまったんだよ」
やはりというかなんというか。まあ、アポロさん自身が仮装してアジトを旋回するようなことをするまでおちていなくて良かった。ラムダさんに頼んでいるから、まだ、マシだ。
「っつーわけで、なんでも良いからくれ」
「生憎、私は菓子を持ち歩くようなことはしません」
「…菓子をくれないやつは減給だっていう伝言がある」
「!」
さすがアポロさん。嫌なところでもしっかりしている。減給は困る。ただでさえ少ないというのに。
「分かりました。菓子を調達してくるので待っていて下さい」
人の菓子のために自腹で買うのは気に食わないが、減給よりはマシだ。
「そらをとぶ」でタンバからコガネへ行く。
デパートへ行き、せめてもの反抗だ、アポロさんの名前の菓子を購入した。共食い…。
「ラムダさん、買ってきました。どうぞ」
「…ランス、これは…嫌がらせか?」
「いえ、最初に目に留まったものを選んだだけです。偶然です」
ま、良いか。邪魔して悪かったな。そう言ってラムダさんは去っていった。…アテナさんにもねだるのだろうか。それともアテナさんがラムダさんのあの衣装を作ったか。謎だらけだ。
Trick or Treat !
(お菓子くれなきゃ減給だ!)
091031
:)happy halloween!
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