ああ、負けたんだな、と思った。思っただけでなく、これは事実。がくりと膝をついた。僕は黒装束の幹部に、負けた。悔しい。それから、自分の未熟さも、悔しい。ポケモンたちに申し訳ない。
「やはり、その程度ですか」
頭上から嘲るような声がする。キッと睨みつけることしかできない自分に、嫌悪感が湧いてくる。悔しい、悔しい。
「ただの子どもがヒーローを気取ったところで、我々に叶うはずがないんです」
最も冷酷と呼ばれた男。初めて対峙したときに自身が発した言葉。あの時は気がつかなかったが今、目を見て理解した。眼前の男の瞳の奥の奥まで宿しているのは、目的達成、そのためなら手段は選ばない。そんな目だ。
「善は必ず勝つ?笑わせる。必ずしもハッピーエンドとは限らないんですよ」
言い返せない。この状況じゃ、全くその通りだから。でも、こいつらのやっていることを黙って見ているなんて性に合わない。誰かが止めなきゃいけないんだ。
「お前たちは間違ってる」
「そんなこと、言われなくても承知の上です」
「!」
「もう、我々の邪魔はしないことですね。私があなたならそうします」
言うだけ言ってきびすを返す男。逃がすまいと立ち上がる。今できるのは、言葉のみの反撃。
「待て!」
その言葉にぴたりと足を止めた。そしてこちらを向く。
「まだなにか?私は忙しいんです」
「1つだけ、言いたいことがある」
「それなら…早く済ませましょう」
ぶつかり合う視線。
「僕はお前たちの組織を必ず倒す」
すると、ふっと嘲笑。
「君になにができますか?」
「…」
「まぁ、良いでしょう」
精々足掻くが良い
091021
なんだこのシリアス…。♂主とランスだとなんでか暗め…。次はギャグでも書いてみようかな。
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