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とある町のとあるポケモンセンター。
バトルをして弱ったポケモンたちをジョーイさんに預けたあと、出口へ向かおうとしたそのとき。前方から誰かが勢いよく走り込んできて彼に思い切りぶつかったにも関わらず、無視したのかは分からないがジョーイさんのもとへ走っていった。

「ジョーイさん!この子たちが…!」

それは栗毛の少女だった。
焦っていて、今にも泣き出しそうな表情をしている。
彼は文句を言おうかと思ったがその顔を見て断念した。周りからは冷たいだのなんだのと言われてきてはいるが、泣きそうな少女に文句を言うほど非道ではないらしい。

「大丈夫よ、ハルカちゃん。明日にはみんな元気になってるわ」

ジョーイさんの言葉に心底安堵の笑みを浮かべたハルカ。

「良かったかも…」
「今日はもう遅いからハルカちゃんもゆっくり休んでね」
「はい!」

そこで彼はあることに気づいた。
恐らく二人が衝突したときであろう。彼女のしていたバンダナが落ちていた。
なぜかほっとけなかった彼は、ジョーイさんにハルカの部屋を聞き、そこへ向かった。

その頃ハルカはバンダナがないことに気づき慌てていた。

「どうしよう…どこで落としたかな…」

その時ノック音がし、作業を止めてドアを開ければ、目つきの悪い少年が、緑色のバンダナを手に立っていた。

「あ、それ!」
「お前のだろ。さっき落としたぞ」
「ありがとう!嬉しいかも!私はハルカ。あなたは?」
「シンジ」

その時シンジは急にハルカのことを思い出した。ミクリカップに出ていたコーディネーターだ、と。

「お礼になにかしたいかも。今から下に行かない?」

返事をする間もなく手をひかれてしまったので彼は何も言うまいと決めた。
連れて来られたのはポケモンセンター内のレストラン。

シンジは呆然としていた。ハルカの注文量がハンパないのだ。

「シンジも注文して良いのよ?」
「…そうか…じゃあコーヒーを…」
「それから?」
「それから?!」
「もっと頼んでよ!遠慮しないで良いかも!」

別に遠慮はしてないんだが…。
彼は若干引いていた。
しかしハルカが色々言って渋々、食事を注文した。

「お前、ミクリカップに出てたよな」
「え、シンジ見てたの?!」
「…まぁ少しだが…」
「あなた、コーディネーター?」
「いや、トレーナーだ」
「トレーナーかぁ…」

大量の食事をどんどん食べながら話しているハルカにシンジは少し感心した。

「私、前にホウエンを旅してたんだけど、トレーナーとブリーダーも一緒だったの。あと弟も」

トレーナーとブリーダー。ヌルいやつらと同じだな。
シンジはコーヒーをすすりながら思った。

「そのトレーナーはね、たまにコンテストにも参加してて、この前のミクリカップで久しぶりに会ったのよ」

楽しそうに話す彼女の話をシンジはただじっと聞いていた。

「まぁ、さすがミクリカップってとこかしら。そのトレーナー、負けちゃったんだけどね、でも演技は最高だったかも!」

彼はだんだんハルカの言うトレーナーが、彼曰わく「ヌルいやつら」のピカチュウをパートナーにしたトレーナーに思えてきた。

「おい、そのトレーナーはまさかピカチュウを持ってるやつか?」
「え?当たりかも!どうして分かるの?!」
「いや…気にするな…」
「気になるかも!あ、もしかしてサトシのライバル?」
「…どうだろうな」

正直シンジ自身もサトシをライバルと認めているのか分からなかった。

「サトシはきっとシンジをライバルだって思ってるかも。シンジを見たら分かるわ」
「お前…」
「なに?」
「腹、こわすなよ」
「え?」

そう言いシンジは立ち去った。一人残されたハルカは…。

「女の子を残していくなんてシンジったらヒドいかも!」

言いながらまだ食べていた。







090830
:O終わり方微妙ですみません!





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