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それは、偶然だったのか………それとも必然だったのか。
『また、君と出逢えたら…』
それを知る術なんて、私にはないけれど、
『また一緒に、音を奏でよう』
後者だったら……と、柄にもなく思ってしまう。
『そしてまた…君の1番近くで、君の音に触れさせて…?』
なぁ、お前は……
どう思う?
デジャヴ 〜deja vu〜
毎日を何となしに、ただ生きている。
そんな言葉が自分にピッタリだと思ったのはいつからだろうか。
それはきっと、『何かが足りない…』なんて、夢から覚めた時唐突に思った、あの日から。
「ユーリ!今日のライブも最高だったよー☆」
「お疲れ、ユーリ」
「タイマー、アイス。今日も来てくれていたのか…有り難う」
「当たり前じゃないかー。親友のライブだよ?」
「ぁ、これ差し入れね。打ち上げにでも飲んでよ」
ライブを終え、控え室へ戻ろうとしたその途中の廊下で見掛けたのは顔見知りの2人組。
タイマーとアイスだった。
同じ大学に通う彼等とは腐れ縁で、実は小学校から一緒。
私は最近この2人の誘いもあってバンドの真似事を始めてみたのだが、私がリーダーを務めるこのバンドは、今では毎度ライブハウスを満員にさせるほどとなった。
この2人だって、ここ地元では結構な人気だ。
「新作も、V系〜って感じでカッコ良かったよ♪」
「あと、新しく入ったドラムスがパワフルでよかったよ」
「あぁ、アッシュか。私が引き抜いてきた奴だからな。当たり前だろう」
「なんか、V系には珍しいワイルド系で、露出狂っぷりがサイコーだね★」
「いいだろ、あの露出狂っぷり。そこが売りだからな」
タイマーと2人で笑い、アイスが隣で苦笑していると、彼は咄嗟にその表情を変えた。
それと同時に、私は突然背後から頭を小突かれた。
それでも、つい笑みを隠せないまま振り返れば、そこには案の定、苦そうな顔をしたアッシュが立っていて。
「…露出狂は酷いんじゃねぇっスか…?」
「好感触らしいのだからいいだろう?そういえば、ファンの1人がさっき『いつズボンが脱げてしまうか心配でした…』と言っていたぞ」
マジっスか…と、ショックを受けるアッシュを見て、タイマーとアイスが腹を抱えて笑っている。
そんな光景を眺め、私も自然と笑みを浮かべるも、
その光景に何処か感じる違和感。
(…疲れているのだろうか)
考えを紛らわすように軽く頭を振っていると、
不意にアイスの手が私の髪に触れた。
「なんか……ユーリって金髪もいいけど、他の色も似合いそうだよね」
「あー、確かにー」
この前、気分で金に脱色させた髪を弄り、そうだろうか…と呟く。
少し傷んでしまった髪に眉根を寄せていれば、タイマーがふと手を打った。
「ねぇ、銀に染めてみない?」
1人首を傾げる一方で、他の2人は笑顔で頷いている。
「ユーリって美人で、でもちょっと陰がある感じだから、派手な金より銀の方が儚い感じでいいと思うよ」
「確かにそうっスね!」
「……だが、これ以上髪が傷むのは…」
「ダイジョーブ!僕、そこいらの美容師より染めるのうまいんだから!」
それに、ケアすれば平気だよ。
なんて笑う彼に気圧され、私は無意識のうちに頷いていて。
そしてその日、ライブ直後に私は半ば強引に髪色を変えられてしまった…。
なんて酷い。
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