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逆シャー直後
ハンモックに寝そべりながらシャークに投げ捨てられた皇の鍵を、上に軽く投げては取って投げては取って。
繰り返している遊馬は、ただ虚しかった。
アストラルの言葉、小鳥の言葉、委員長や鉄夫、そして何よりもシャークの言葉。
全部が自分を責め立てる。
いつもカッと熱くなってしまう遊馬を落ち着かせて、安心させてくれる唯一の場所が屋根裏だった。
何度振り返っても、明らかに身勝手なことをしている。感情に左右されやすいのは自覚していたけれど、今回もまた派手に負けてしまったものだ。
心なしか横に浮かびながら窓の外を見ているアストラルにすら、呆れられている気がする。
もっと俺のデュエルが強かったら。
ナンバーズに、アストラルに頼らなくても強いデュエリストだったら、シャークが遊馬に負けたからといってデュエルをやめて、危ない不良の仲間になったりはしなかっただろう。
くそ、悔しい。悔しくて悔しくてたまらない。
デュエルをすれば気持ちが通じる。徳之助だって、そうだった。
シャークとデュエルをした時、本当に、ただひたすらに楽しかったのだ。初めて自分より遥かに上手いデュエリストと戦って、初めてエクシーズ召喚をして、負けそうになりながらも何とか勝利して。
シャークはきっと、こんなに楽しいデュエルをたくさん味わってきたんだろう。何せ全国大会出場者なんだから。
だから、自分とのデュエルが楽しくなかったにしたって、デュエルの楽しさはよく知っているはずだ。
けど、やめた、なんて言うから。
デュエルの楽しさをできる限り思い出させたいと、遊馬は思った。それなのに。

「遊馬は深淵なる孤独の闇の果てにでもいるのか」
「しんえんなる?……まーたロビンか」

いきなりテレビを付けたアストラルを見た瞬間、なぜかまた気力が湧いてきた。
ナンバーズが、この鍵がある限り、アストラルは傍にいるのだから。
そんな目に見えるような単純な関係。
気にすることはない。ただひたすらに、全力で、今まで通り、いや今まで以上にぶつかっていけばいい。それだけだ。


あきゅろす。
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