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ずっとこのままで、
雲の雫管理人の尚都さまにいただいた相互記念のつなひばです。
大人綱吉×小悪魔な現代雲雀という、まったく自重しないわたしが本能に従いリクエストをさせていただきました。
尚都さまありがとうございます!
では、どうぞお楽しみください。















ドゴォォオオオン!!!



屋敷に響き渡る怒号に書類に目を通していた綱吉は、はぁと溜め息を零した。
向かいに立つ右腕である獄寺を見やれば彼も理解しているのか眉間に皺を寄せていた。

「隼人、」
「解ってます。この書類は問題ありませんので行って下さい」
「ありがと」

はぁと疲れた溜め息を吐く獄寺に釣られる様に苦笑を零した綱吉は今だ鳴り響く怒号の根源場所へと向かった。





ずっとこのままで、





彼方此方が破壊されたかつて煌びやかだった屋敷に頭痛を覚えた。
カツカツと赤い絨毯を歩けば部下達が慌ただしく駆け回っていた。

「ボス!!」

綱吉に気付いた部下が駆け寄ってくる。

「状況は?」
「はい。先程、霧の守護者が帰還した所に雲の守護者が鉢合わせしまして…」
「骸と恭弥か、怪我人は?」
「居合わせた者は皆避難しました。掠り傷程度です」
「そう、ありがとう。後は俺がやるから君は被害状況を確認して、隼人に報告してくれるかな?」
「分かりました!!お気を付けて下さいボス」

一礼した男は慌ただしく走っていく。それを見届け綱吉は一つ呼吸をする。
次の瞬間、ボオォッと立ち上った死ぬ気の炎。柔らかな琥珀色の瞳は炎と同じ赤橙色に染まる。

「さて、屋敷が崩壊する前に2人を止めなきゃな」

タンッと軽く絨毯を蹴り走り出した綱吉は超直感を生かし2人が居る場所へ向かっていった。







ガキィインと鉄がぶつかり合う音が広いエントランスホールに響く。
壁は抉られパラパラと破片が落ちていく中、骸と恭弥は互いの愛武器を構えていた。

「帰って来るなり奇襲を掛けるなんて何のつもりですか、雲雀恭弥」
「五月蝿い。何しに来たのさ」
「綱吉君に逢いに来たに決まってるじゃないですか!!」

それ以外に何があると言うのか 骸はフンッと鼻で笑う。

「変態なんかに綱吉を逢わせるわけないだろ 帰れ!!」
「クハハ 小鳥風情が生意気ですね!!貴方こそ六道輪廻を渡ってきなさい!!」

繰り広げられる口喧嘩に駆け付けた綱吉はげんなりした。
毎回毎回、飽きもせず同じ事を繰り返す2人。
犬猿の仲、水と油…彼らが揃うと碌な事が無いのだ。
しかしいい加減止めなくては屋敷が無くなってしまう。
2人が攻撃体勢に入った事に気付いた綱吉は2人が駆け出す瞬間を見計らい2人の間に身体を滑らせた。

「「―ッ!!!」」

突然現れた綱吉に驚いた2人は武器を引こうとしたが既に遠心力により振り落とされた武器は真っ直ぐ綱吉に向かう。骸も恭弥も止められないとギュッと目を閉じた。
ガツッと鈍い音がし恐る恐る目を開けば綱吉が2人の武器を止めていた。

「はい、2人もそこまでね?」

にっこりと微笑んだ綱吉が何事も無かったように言う。

「全く、これで何度目かなぁ?」

はぁとわざとらしく溜め息を付いた綱吉は双方を見る。

「綱吉君、」
「骸は大人なんだからムキになるなよ」
「しかし、綱吉君!!」
「恭弥も、何度言ったら分かるのかなぁ」
「でも、綱吉!!」

「「悪いのはあっち(です)!!」」

見事にハモった台詞に再び睨み合う2人。

「………骸 恭弥」

低い声が2人の名を呼ぶ。
ゾクリと背筋が震え恐る恐る綱吉を見れば物凄く笑顔の綱吉が2人を見下ろしていた。

「骸、恭弥、今すぐごめんなさいするか、南米挨拶ツアーと書庫の整理どっちがいい?」

にっこりとしかし目は凍てつく氷の様に冷たい眼差しが2人を見下ろしていた。
その視線に睨み合っていた恭弥と骸はビクリと身体を硬直させる。
「柔らかな声音な筈なのにソレに含まれる怒気共暫くはタダ働きだから」
「「…はい」」

先程の派手な喧嘩はボスのお陰で漸く終止符を打つ。
パラパラと壁が崩れるエントランスホールが修繕されるのは綱吉がボスに就任してから10回を越えている。
綱吉は無惨に崩壊したホールに溜め息を吐き彼方此方走り回っている部下に指示を出すと執務室へと戻って行った。
残された恭弥と骸は再び睨み合ったが、これ以上綱吉の怒りを買う事は避ける為にフンッと互いに別の方向へと向かっていった。



そもそも骸が屋敷に戻ったのは最愛のボスに逢うと言う事とは別に今まで就いていた任務の報告や新たなマフィアの情報などを綱吉に知らせる為に帰還したのだ。なのに出逢い頭に遭ってしまった恭弥の所為で出鼻を挫かれあまつさえ綱吉を怒らせてしまったのだ。

「まったく あのお子様はどうにかなりませんかね…忌々しい」

ブツブツと文句を言いながらあてがわれた部屋へ向かう。
汚れた服を脱ぎ捨て新しい物に着替えると綱吉が居るだろう執務室へ向かった。








一方執務室では、先程の被害状況の修理費などを獄寺ともう1人の会計士と話合っていた。

「ホールの天井や壁の破損が一番酷いですね、幸いボスのお気に入りのアンティーク家具は無傷でした。あとは窓ガラスが数枚割れた程度で収まりました」
「10代目が止めに入らなければ被害は増えてましたね」

彼らの報告を聞きながら修繕費を考え頭が痛む。
あの2人はどうして逢えば殺し合いの如く闘うのか、綱吉には悩みの種だ。

「隼人なるべく恭弥と骸が鉢合わせしないようにスケジュール調節してくれる?あと修繕工事早めに出来る所捜してくれるかな」
「はい、分かりました」

会計士と獄寺が一礼し執務室から出て行く。

「げ、お前何しに来やがった」
「…邪魔だよ駄犬」
「んだと!!テメェ」
「五月蝿いよ君、」

扉の前でいがみ合う2人に綱吉が溜め息混じりに立ち上がるとガツッと鈍い音と獄寺の呻き声が聞こえた。慌て扉に駆け寄りしゃがみ込んでいる獄寺に近付いた。

「隼人、大丈夫?」
「つぅ、」
「恭弥、」

見上げれば恭弥はぷいっとそっぽを向いたままだ。
綱吉は溜め息を吐くと獄寺に謝罪した。

「ごめん、隼人」
「いえ十代目が悪い訳ではないですから」
「だけど…」

獄寺は小さく苦笑を零すと立ち上がり会計士と共に部屋をあとにした。残された綱吉は未だにそっぽを向いた恭弥を見詰めまた一つ溜め息を吐いた。

「恭弥、」
「アイツが悪い」
「…まったくどうしてそう、」

綱吉が呆れながら立ち上がると恭弥はムスッとしたまま抱き付いてくる。

「なーんでこんな暴力的に育っちゃったかなぁ」

むくれる恭弥の背を優しく撫でながら綱吉は過去を振り返る。
まだ幼い恭弥を引き取り可愛い可愛いと親バカ宜しく育ててきたのは紛れもなく自分だ。何処で育て方を間違えたのかと考えてみてもなかなか思い付かず綱吉は考え込む。
小さかった恭弥は病弱で何時もベットにいた。甲斐甲斐しく世話をし少しでも丈夫になるように食事などの管理を徹底させ気分の良い日は軽い運動をし、四六時中傍に居て面倒を見ていた。仕事を部屋に持ち込み何時でも恭弥を気遣える様に手配し寝る時も一緒、端から見れば超が付く程の過保護っぷり。
しかし当の本人は無自覚であり綱吉の寵愛を受ける恭弥も幼い頃からの刷り込みにより当たり前となっていた。

「ほら恭弥、離れてくれないと動けないよ?」
「やだ、」
「きょーやくーん?」

優しく優しく名を呼びながら髪を撫でる。擽ったいらしく肩を竦める恭弥に暖かい気持ちになっていればドアをノックされる。

「どうぞ」
「失礼します、綱吉君…」

入って来たのは先程派手な喧嘩をしていた骸だった。
骸と確認すると恭弥は直ぐ様臨戦態勢に入る。

「何しに来たのさ」
「それは此方の台詞です。綱吉君から離れなさい」
「何で南国果実に命令されなきゃなんないの」

逢って早々に口喧嘩をし始める2人に溜め息を吐き綱吉は恭弥をひょいっと抱き上げた。

「はい、そこまでね」

骸に座って待つように促すと恭弥を抱っこしたまま隣の部屋へと移動する。
隣接する部屋に恭弥を運びソファに降ろす。

「恭弥、ちょっと待っててね」
「綱吉!!」
「仕事の話だから。恭弥はいい子にしててね」

綱吉は数回恭弥の頭を撫でると骸の待つ執務室へと戻っていった。
残された恭弥はムスッとしたままソファにぼすりと倒れ込んだ。

(綱吉のばかばか!!僕を子供扱いするなんて!!)

確かに引き取られたのはたった5歳と幼く、しかも気管支が弱かった為に季節の変わり目には直ぐ風邪を拗らせ綱吉を心配させていたのは事実だ。
だからと言ってもうあの頃の様なひ弱な子供ではない。日々身体を鍛え綱吉の守護者として恥じぬ様頑張り今じゃ大人をも打ちのめす程に成長したのに未だ子供扱され悔しくてならない。
早く大人になりたい、早く綱吉と対等の立場に立ちたいと気ばかりが焦ってしまう。綱吉からすればまだまだ子供の自分、逸れが悔しくて悲しかった。

(早く大人にならなきゃ、もっともっと強くなって綱吉の隣に立ちたい)

クッションを抱え込み悔しさに滲む瞳を伏せる。

(あぁ、どうしてもっと早くに生まれて来なかったんだろう?)
(綱吉と同じ歳なら対等に見られたかな?)

今更願っても叶わない願いを考えながら早く綱吉が自分の下へ来てくれる事を願う。

(南国果実なんかほっとけばいいのに、綱吉のばか)

骸への嫉妬と憎悪を募らせる。僕より先に出逢い、尚且つ同じ歳だからと何かと自慢するパイナップルああなんて腹立たしい!!綱吉と一緒にお風呂に入った事も寝た事も無い癖に!!
考えれば考えるだけ苛々としてくる。
暫くふてくされていればガチャリとドアが開いた。

「恭弥お待たせ」

入って来たのは言わずもがな綱吉で、その手には箱が乗っていた。

「いい子にしてた恭弥君にご褒美!!」

恭弥が大人しく待っていた事に喜び、にっこりと笑った綱吉は恭弥の形良い丸い頭を撫でる。

「はいどうぞ〜」
「子供扱いしないでよ」

おおよそイタリア最大のマフィアのトップとは思えない程間延びした声音で箱を渡す綱吉に恭弥はムスッとしたままだ。

「ほら恭弥拗ねないで。これね前恭弥が食べたいって言ってたヤツだよ?」

そうやってモノで釣られる子供じゃないとぷいっとそっぽを向いた恭弥に綱吉は困った様に笑う。

「恭弥の為に折角取り寄せたんだよ?」

いらないの?と聞かれても恭弥はそっぽを向いたままクッションを抱き締める。

「いらないの?」
「ッ!!」

突然耳許に掛かる問い掛けにビクリと身体が震える。漸く綱吉の方を向けば思いのほか近く恭弥は慌て身を引いた。

「きょーや、何拗ねてるの?」
「す、拗ねてない!!」
「ん〜、じゃあご機嫌斜め?」

箱をテーブルの上に置くと身を引いた恭弥の身体を易々と捕まえ自身の膝に乗せると逃げられない様に抱き締めた。

「は、離せ!!」
「はいはい、暴れないの」

ポンポンと赤子をあやす様に背を叩かれ悔しさと羞恥で一杯になる。
身体に廻された綱吉の腕と綱吉の体温 匂いに気が緩みそうになり恭弥は尚もジタバタともがくが伊達にボスをしているだけあり恭弥が幾ら暴れようとびくともせず抵抗も無駄となる。

「ふふ、降参した?」
「くっ!!」
「恭弥も力付けたね、持久戦だったらヤバかったかも」

息一つ乱さない癖にそう曰う綱吉の首筋に悔し紛れに噛み付いてやれば驚いた様に目を見開いた。






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