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それはたとえるなら隠れ家みたいな、3
※ひばりさんと獄寺くん微妙に変な子

ごくつな、つなひば同時開催
まだ裏にはいかない3話めの百合とりお

でも、何だかげひん!


では、連載第3回めどうぞ。








「わかった。付き合ってあげる、きみの言う心中に」


しばし黙考したあと雲雀は平然と言った。

「ほんとですか、ひばりさん!」
「10代目!!?」
イヤですイヤです!と全力で頸をふる獄寺を尻目に、雲雀はツナのプレートにある揚げたてのフライドポテトをひとつまみ、くちびるの中に放り込む。

流行りのフレーバーポテトの新製品。
あらびき黒胡椒と、チェダーチーズがきいていて、後を引くおいしさだ。

「…美味しい…」
「あの、ほんとですか?ひばりさん」
「ん、」

短く返事をして、ポテトをもうひと口。
雲雀の思わぬ承諾に食いついたツナだが、雲雀が果たして愛する並盛を投げだして草食動物でしかない自分と心中してくれるのか?と考えると、半信半疑だ。

(だって俺は真面目に聞いてるのにポテト食べてるんだもんなぁ、このひと)

「信じてないね。…獄寺隼人、きみはどうするつもりなの?」
「10代目がいかれるなら、俺もいくに決まってんだろーが。10代目のいらっしゃらない世界なんざ生きてても仕様がねぇんだからな」

「重いね、きみは」
「あぁ?!なんだとテメ「何食べてるの、それ」
「タマゴチーズバーガーです」
「ひと口」

あーんと口を開けるから仕方なしに、タマゴチーズバーガーを彼に近づけてやった。
獄寺がきゃんきゃん騒いでいるが、ツナにはあるがまま流されるしか、出来ない。

「うん…悪くないね。で、一緒に死んであげる代わりにひとつ条件があるんだ」
「え〜〜…」

薄紙で行儀良く口元を拭い、もぐもぐ咀嚼しながら、雲雀は交換条件を提示する。予想通りだ。

(やっぱりひばりさんだー。タダで心中なんてしてくんないよなぁ…)


「簡単だよ。僕とセックスしようよ。僕、したことないんだ」
「ぶはっ!?」

ぽかんと無反応なツナの前で耳まで真っ赤な獄寺が何かを吐き出した。

「えぇえ?」
「おまっ、ひばりっ、」
「どうせなら、一回やっておきたいでしょ、セックスくらい」
「じゅ、10代目のまえでそんな下品な単語くちにすんな!」

そこかしこに飛び散った何かを拭き取り獄寺は怒鳴ったが、何故かチラチラとツナを見てくる。

「ねぇセックスしてよ。きみと死ぬ前にきみとセックスしたいんだ」
「ひ、ひばりさんセックスセックスって…、さっきからそればっかり言い過ぎですよ。なんで突然セックスしたいなんて言い出すんですか?」
「お言葉ですが10代目!10代目もですよ気をつけてください」
「ああっ、そうだ、ごめん…」

たじたじとなるツナ。
雲雀は無表情でにじり寄り、更に窓際へと追い込むようにツナのお尻に自分のそれを押し付けて座り直す。

「けど、スる前にシャワーを浴びて汗を流したいな。学校に戻ろうか」
「学校でシャワー?プールの?寒くないですか、」
「違う。応接室の隠し扉の奥に浴室を作ったんだよ」
「へえ…」
(応接室に隠し扉と浴室か…このひと学校カスタマイズしすぎだろ、ってか。Hするのは既に決定されてるっぽい)

「柚子風味も素晴らしいじゃないか、きみにしてはなかなかいい選択をしたね、獄寺隼人」
雲雀は向かい側の獄寺の柚子味噌フレーバーのポテトにも手を伸ばし始めていた。

「何でもひと口ずつ食べやがって白雪姫か、お前は」
「ふぅん…僕がお姫さま役か。いいよ、沢田綱吉がうまくリードしてくれるなら、僕が女役で構わない」
「わぁお!」

ツナは叫んだ。
もうそう叫ぶしかなかった。
あの雲雀が「お姫さま役をやっていい」とうそぶき、やっぱり無表情で、ツナのジュースのカップを持つ手を握り締めてきたのだから。

「じゃあ、俺は10代目をお姫さまにしますね、いいっスよね10代目!」
「ぅえっ、俺がお姫さ…!?、はおいといて…、獄寺くんもまさかの乗り気なのー?」
「え?俺は雲雀の意見には賛成ですよ?こいつも一緒ってのは残念ですが、未経験で人生終えるのも勿体無いですし、ぜひ一回やっときましょう」
「きみが混ざっていいなんて誰も言ってないよ。犬はお家へお帰り」
「んなっ、てめーっ!」

(ああもうメチャクチャだよ〜〜!)


誰かと密かに心中するつもりがこの騒ぎだ。
どうして自分の周りの人物たちはこうなんだろうか。
ますます世を儚みたくなるツナであった。



***

場所は変わって、並中。
結局三人揃って、学校に来てしまった。

(緊張してきた…心中だけでもドキドキなのに、その前にまだ一山越えなくちゃならないのか、俺…)
手首を掴みてくてく足早に歩く雲雀に引きずられる形でツナは応接室に入った。
獄寺もそれに続き、目の当たりにした光景に

「か、隠し扉なのに隠しきれてねーーっ」

二人は同時に叫んでいた。
応接室の壁に、ふすまがくっついていたのだ。

「前に来た時はこんなのなかったのに!これ、誰にも何も言われないんですか?!あからさまに不自然ですよっ」
「僕のする事に刃向かう奴なんてこの学校にいると思うの?ほら、いいよ、入っても」

興味深く中を覗くと、畳の敷かれた脱衣場になっていた。空調まである其処の大きさは、四畳ほど。大きなスリ硝子の向こうが風呂場か。

「わ…部屋、綺麗ですね」
「和風を取り入れてみたかったんだ。お湯もはってあるし、早速はいろうよ。気持ちいいよ」

カラリと硝子の扉をあけたら、立派なヒノキ風呂があった。

「なんで風呂の準備してあんだよ?」
「見回り後にはいるお風呂は最高だからね。ちゃんと沸かしてから行くんだ」

「なぁっ、ひばりさん!?」
(ひ、ひばりさんたらもう脱いでる…!?)

学ランを藤かごに放り、躊躇いなくワイシャツとズボンを次々と脱ぎ捨ててゆく雲雀に、ツナは驚愕した。

「…どうしたんだい?」
「いえっ、なんもないです……」
ごく普通に全裸になった彼を直視できない。
学ランに隠されていたからだの線があまりに華奢で、見てはいけないものを見てしまった感じだ。

(うわ、わわわ、ひばりさんのハダカ…!しろいっ!ほそいっ!)

普段あんなに怖い先輩の無防備な姿にツナは『このひとも普通に人間なんだ…』と失礼にも実感した。
(やばい…俺、今、ひばりさんの事キレイって思っちゃったかも、)
かあッ、と熱がうなじを昇ってゆく。

「あれっ?10代目、脱がないんですか?」

(このひとはとっくにぜんぶ脱いでたーッ)
アクセサリーもひとつ残らず取り去った獄寺は、タオルできちんと前を隠して、均整のとれたからだをさらけ出していた。

(あーあー、こんな美人な獄寺くんがこんな訳分かんないシチュエーションで脱いじゃって…)

透けるようなサラサラの銀髪も、薄く筋肉のついたしろい胸も、彼に流れるのが大半、異国の血であることを思い出させる。
柄の悪さで忘れがちだが、見た目で言えば彼は所謂、『儚い美少年』を絵に描いてあらわしたような容姿の持ち主だ。

「よ、よ、よ、良かったら服脱ぐの俺が手伝って差し上げますよ10代目…はあはあはあ、」

息を乱して両手をワキワキとこまねく、そういう仕草さえしなければ、の話だが。

「っひ…、いいよ、俺、後から入るから!」
「きみたち、なにやってるの?」

サッサと扉に手をかけていた雲雀が、ツナと、ツナに掴みかかりブレザーを脱がそうとする獄寺を訝しげに振り返る。

「ちょ、ひばりさん、獄寺くんが無理矢理…」
(ひばりさんのお尻すごい丸い、桃みたいだよ!)

此方に背中を向けていた並盛の支配者のお尻は、見てるこっちが恥ずかしくなるくらい見事な白桃だった。
そして、彼に見とれているうちに着々とシャツまで剥ぎ取られてゆく。
なんてことだ。

「タンマ!下は自分で脱ぐからっ、」
(二人とも綺麗なからだしてるからいいけど俺は一般人より更に貧相なんだよ!心の準備がッ)

「遠慮しないでください!」
「僕も手伝ってあげるよ」

打ち合わせしたかのように、いつもの険悪ぶりから想像もつかない程の素晴らしい連携プレーで獄寺がツナを押さえつけ、雲雀がツナのズボンとトランクスを強引に下ろした。

(息合いすぎだろ、この二人!)
「ふぁ!?お、お助け、」
「……っ。可愛い…」
ツナの股間についたお粗末なものを目の当たりにした雲雀が頬を染めた。

「綺麗に洗って可愛いがってあげるから、早く入ろう、沢田綱吉」
「さっ、行きましょっか」
「うぅ〜」


いざ、この世ならぬ羞恥の待つ、桃源郷へ。

ツナは両側からしっかとホールドされて風呂場へと足を踏み入れた。










***

第4話に続く。
微裏どまりですよ、多分……


色気もムードもない童貞三人組。




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あきゅろす。
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