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+君と俺と、悪夢の晩餐+
※変質者獄寺氏×冷静ツナ



目が覚めたら、俺はお城のパーティー会場らしき場所で、白い布が掛かった長い長い机の上に裸で転がされていた。

寝心地は最悪。
背中が痛い。
首を回して机を見たら、俺が寝転がっているのは大きな皿の上だった。


あ、これ夢だよな。
俺さっき、いつもの二段ベッドでちゃんと寝たもんな。
俺が二段ベッドの上で、下が獄寺くん。

うん、夢だ。

俺は冷静に観察を始めた。
机の上には、俺の他に色んなソースやシロップが立ち並んでいる。
何故か調味料しかない。

「オードブルどころかメインのお肉もお魚もないなんて。変なパーティーだなぁ…」
「そりゃあ10代目、メインは10代目だからですよ」
「獄寺くん!?」
俺は心臓が飛び出すくらいビックリした。
先ほどまで無人だったのに、いきなり獄寺くんがいたんだ。

「今から10代目を戴くので、準備してました!」
嬉しそうな顔をして、獄寺くんは俺を置いた皿の脇にフォークとナイフ、スプーンを丁寧に並べた。

「い、いただくって、どうゆうコト?」
「俺が10代目を食べるんですよ。ほら、どのソースにしましょうか?」
「はぁ?」
俺の頭の中には、膨大な量の疑問符が飛んだ。

「10代目にはどんな味付けが似合うんでしょうかね」
逡巡しつつ様々な調味料の瓶を手に取る獄寺くん。
その指先や手つきはとても洗練されていて、やはり獄寺くんはどんなに不良ぶっていてもお城が違和感なく似合ってしまう辺り、育ちがいいお坊ちゃんなんだなぁと思った。

「これ、10代目の髪と瞳の色と同じですね!」

形が良い唇、真っ直ぐ通った鼻筋、長いまつげに縁どられた灰色がかったターコイズの眼差し…そんな超絶美形のクセに、その痕跡すら無くなるくらい思い切りニカァッと顔を崩して俺に笑いかける、彼は獄寺くんそのものなのに。

「さあ、どこから俺に食べさせてくれますか?仰って下さい10代目!」

なんて。
メープルシロップを胸から下腹までタラタラタラッと垂らされたら、もう冷静では居られなかった。
「ごっ、ごくでらくんっ、冗談だよね!?」

夢だって分かってるけど。
こんなにお腹がヌルヌルして裸の体は寒くて、このまま食べられるなんて、例え夢でもイヤだ。
早く醒めてくれ!

「ほんと、やめて!」
「生クリームも乗っけて良いですか?きっと10代目のお体にぴったりの味付けですよ。ああ、お腹も太腿も柔らかそうで喰いちぎりたくて堪んないっス、仰って下さらないんでしたら、俺の好きなトコから喰っちまって構わないですよね?」
「ひーっ?!」
メープルシロップの上から胸に塗り付けられる生クリームの感触が、堪らなく気持ち悪い。

「メチャクチャ美味そうで、すげーかわいいです、10代目…」
獄寺くんの長めの銀髪が胸にかかった。
「ね、じゅうだいめ…先ずは、おっぱいから食べてもいいスか?」
「ひぎっ、良いワケないだろぉおっ!?マジやめて!獄寺くんっタンマ!タンマぁああ!!」
乳首にカリッと歯が立てられて。
あまりの恐怖に叫んで、目を開けたら…

「あ…………」
「ごく、でらくん…」
俺の腰に跨って、荒い呼吸で俺を見下ろす獄寺くんと視線がかち合った。
漂う青臭いにおい。
キチンとパジャマを着て眠ったはずが大きく開けられて剥き出しになっているお腹。
その俺のお腹には、今まさに跨っている発情期の大型犬が吐き出したであろう白濁がタップリかかっていた。

「あの…あ……す、…す…いません………じゅうだいめ…すいません」


大惨事だ。

寝ても醒めても悪夢は続いていた。

「何してんの?」
俺は氷のように冷たい言葉を吐いた。
「すいませっ、すいませんっ」
獄寺くんは、自分の勃起したはしたないペニスを握り締めたままで、シュンとうなだれ謝罪を繰り返す。

「今は謝れとは言ってないよ。獄寺くんが何をしてるか聞いてんの」
獄寺くんの薄い肩が前屈みに丸まって、随分小さくなったようだ。
握ってるソレが、しおしおと勢いを無くしてゆく。
「10代目の寝顔で、抜かせていただいて、ました………」
「へえ」
「すいませんっ、あ、あんまり可愛らしいお顔で休まれていたのでっ……つい、出来心と言いますか」
俺の詰問にあの碧翠が見る見るうちに潤み始めた。
「おっ起こしてしまって、すいません!右腕失格っス!」

俺は諦めた。
彼には愛想が尽きた。
気づいてよ獄寺くん。
右腕失格っていうより、友達のお腹の上でオナニーするとか、もう既に人間失格なんだから。

「…うん。もう良いよ」
「えっ……?」

「部屋替えの話はまた明日、山本を交えてしようね。さあ、退いて。シャワー浴びてくるから」
冷徹に告げると、涙で潤んだ獄寺くんの瞳が大きく見開いて、
「じゅっ、じゅうだいめぇえっ!!」
なんと彼は夜中にも関わらず、大声で叫びだした。
「ヤです!部屋替わるの、絶対イヤですっ、俺は10代目と一緒じゃなきゃ……!」
「ちょ、ごくでらくっ…シィー!声っ、大きいっ…」
「いやですいやです、俺を捨てないでくださいっ、山本なんかと寝ちゃイヤです!じゅうだいめぇえっ」

泣きひしって俺に覆い被さってくるから、お腹に出された精液が俺と獄寺くんの間でべちょべちょと音を立てた。

うわっ、気持ち悪い!
獄寺くんのTシャツも台無しじゃん。

「分かった、朝まで待って二人とも落ち着いてから話そう、獄寺くん。それでいいね?」
「…っ、う……い、いいです…さすが、じゅうだいめっス、どんな時にも冷静でシブいっス……」
ひっく、ひっくと嗚咽しながら、それでもおべっか(獄寺くんは本気で言ってるようなのでこの言い方は正しくないが)を忘れない彼に、俺はもう一度、何かを諦めた。

結局、体をきれいに洗って寝直して、朝になったら。
俺の怒りも少しは削がれてて、捨て犬のようにへこたれている獄寺くんへの憐れみが芽生えるだろう。
そしていつも通り彼の暴挙を許して流されてしまうだろう。


あーあ……………





+君と俺と、悪夢の晩餐+








*おまけ*

明くる日、ベッドの下で土下座して俺の目覚めを待っていた獄寺くんに、彼に喰われそうになった悪夢を思い出したので聞いてみた。
「単なる好奇心から聞くんだけどさ、獄寺くんはさ、もし俺を食べるとしたら、何かけて食べる?」
「え、食べ…10代目を?」
「うん、あ、いやらしい意味じゃないよ。食事の話」
「大変美味しそうなお話で恐縮ですが貴方を胃の中にいれちまったら、イチャつくコトもHするコトも出来なくなるんで、食べないと思います」
俺は無表情になり、そうだね、でも今はもしもの話してるんだよ、ってか、今は君からHって単語を聞きたくないんだ、と言うと再び平伏して

「俺はっ、10代目を戴くんでしたら!勿体無いので調味料は一切かけません!!10代目の持ち味だけで食べさせて貰います!!!」
と獄寺くんが答えたので、やはり夢の獄寺くんは偽物だったなぁ、とちょっと安心した。





*************

で、この後性懲りもなくもう一度夜這い事件を起こして、ひとり部屋になってしまう獄寺氏。




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あきゅろす。
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