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世界はキミのもんだ!
優柔不断装備中(ギリシャ、トルコ)
「あ、あのっ…」
「……」
「あのお…!」

少し声を張ってみるが、起きてくれる気配はまったくない。
私を抱き締めたまま微動だにしないギリシャさんは、少し身をよじらせて腕の力を強くした。

「ギリシャさん…起きて下さいって…」

今日、日本国で行われた世界会議のために来日されたギリシャさんだが、会議中も通して寝ていたらしく、日本さんが困ったような表情をしていた。
私は何故か彼を起こすように頼まれ、一人だけ会議室に残されたギリシャさんを何とか起こそうとしたのだが。
なかなか起きないので日本さんに助けを求めようと背中を向けた瞬間に後ろから抱き締められ、ギリシャさんの膝の上に乗せられたのだ。

「こ、困ります…っ」

寝呆けてやったのか確信犯なのか。後者ならたちの悪いことったらない。
腰に回された腕をべちべちと何度か叩けば、ギリシャさんはやっと小さく声を洩らした。

「ん…」
「ギ、ギリシャさん…!」
「…ん、」

まだ眠たげな声だが、腕の力は緩まない。
とろんとした瞳を見上げるが、明らかに起きていないようにしか見えないではないか。
またこっくりこっくりとうたた寝を始めるギリシャさんに泣きそうになる。
誰か助けを呼ぶべきなのかな。
ふと思い付いた名案に準備するために息を吸ったときだった。

「何でぃ、まだ開いてやがんのか…」

ひょこりと入り口から顔を出したのはトルコさんだった。仮面が特徴的な方だったのでよく覚えている。
案の定ギリシャさんに抱き締められた私に気付いてくれたトルコさんはすぐにぎょっとなり、私の方へと向かってきてくれた。

「お前さん、確か日本とこの…」
「そ、そうです…あの、もしよろしければお手を貸していただきたいんですが…」

トルコさんは国だから恐れ多い。そんなことなんて考えている余裕はなかった。
トルコさんはギリシャさんの顔を見てわずかに口元を引き結び、こくりと縦に頷いてくれた。
そしてギリシャさんの腕から解放しようと引っ張ってくれるのだが、なかなかどうしてかギリシャさんの腕の力は緩まないのである。

「離しやがれこのすっとこどっこい!」

疲れたのか一度私から手を離したトルコさんはギリシャさんの頭を思い切りはたいた。
それに顔を歪めたギリシャさんは、先程とは違い不機嫌そうな顔でギリシャさんを見る。

「やっぱり起きてやがったのか。汚ぇ野郎だ」
「…桜、ダメ」
「ああ!? 本人がイヤがってんだろうが!」
「…日本言ってた。イヤも好きの内って…」

もしかして「イヤよイヤよも好きの内」のことだろうか。
そう頭の片隅で思いながらも、先程より更に密着するようにギリシャさんに抱き締められて顔が熱くなる。

「俺は頼まれたんでぇ、お前から助けてくれってな!」
「桜、そんなこと言って、ない…」

もしかしてこの二人は仲が悪いのだろうか。口喧嘩はたまに見るが、この二人ほど白熱したものは見たことがない。

「嬢ちゃん、どっちだ!?」
「俺のこと、嫌い…?」
「え、あ、あの…っ」

私に話が回ってくるとは思ってなく、思わずうろたえてしまう。
トルコさんは私が巻き込んだようなものだし、ギリシャさんだって悪気があってやったわけじゃない。
どっちを選べばいいのか判らなくなった私は、

「じゃ、じゃんけんしましょう」
「はあ!?」









優柔不断装備中
(日本さんと同じことって…日本さんも同じこと言ってたのでしょうか…)


―――

二巻の日本と同じですね…
あとトルコさんすごい好きだけど話し方難しいよ。

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