元々疲れていただろうにその上甲板ではしゃぎまくったせいか、ずいぶんと早い時間にマルコは眠りについた。あまりに突然、プツンと事切れたかのように眠ったもんだから、「えっ!?死んだ!?」と思ってすごく驚いた。 だから子供は苦手なん………まあ、いいか。もう。はあ。
とりあえずマルコをニューゲートのベッドに寝かせてから、キッチンに集まった俺らは色々と話し合いをすることになった。マルコ一人が加わっただけなのに、ちゃんと考えなくてはいけないことが山積みだ。
「ニューゲート、お前子連れでの船旅を楽観視してるわけじゃねぇよな」 「理解しているつもりだ」 「じゃあなんで。………言っとくが俺はまだ反対だからな」 飲んでいたコーヒーのカップを強めにテーブルに置く。 俺は別に、マルコを今すぐ捨てろって言ってるわけじゃない。ただ、面倒をみるのが俺らでなくてもいいんじゃないかということが言いたいのだ。俺らだって金銭的にも余裕があるわけでもないんだし。 文句を黙って聞いていたニューゲートは、伏せていた目を開き静かに俺に問う。
「……お前にはマルコは何歳に見える?」 「………。急になんの話だよ」 「まあいいから聞け。何歳だと思う」 もしかして誤魔化そうとしているのか?と疑いの眼差しを向けつつ、俺はニューゲートの言葉に従い答えを導き出す。 「あんまりあの辺の年齢の子供見たことないから正確には分かんねェけど……まあ、あの体の大きさを考えたら、大体3歳くらいってところだろ。喋りも拙いし。行ってても5歳ってところじゃないかって思うけど」 「あれで8歳だと」 「へぇー8歳………。は!?あれで?」 あまりに驚いた俺は弾みでカップを取り落とした。少し中身が溢れ茶色いシミがテーブルに広がった。
どんなに俺が子供の成長を知らなかったとしても、あれが8歳の成長に遠く及ばないことくらいは分かる。身長も体重もその年齢の成長には全然足りないし、8歳であの喋りの幼さは……少し、異常なんじゃないだろうか。 「自称ではあるがな。だが歯や骨格の状態を見るとそうずれてはいないと思う。……それに、マルコを見つけた時の状況を考えると、正直納得もした」 「どういうことだ?」 「丘の上にあった屋敷の中の地下牢で見つけたんだ」 「……牢?」 とても子供とは結び付かない単語に、俺は眉を顰めた。
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