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それから数日経ち、無人島から一番近い島へと移動した俺らは久しぶりの町で漸く満足行く休息を取ることができていた。購入した新聞では俺らのいた海賊団が壊滅したことが小さく載っていた。生存者はいないらしい。


船を買うため適当な賞金首を数人捕獲したらまあまあな金額になった。俺自身が賞金首じゃないことが今日ほど役に立ったと思ったことはない。俺もニューゲートも賞金首だったら換金できないところだった。


小さめの安い船を買うつもりだったが、ニューゲートがやたらデカイせいで船の大きさもそれに合わせないといけなくて、なんだかんだで購入した船はそこそこ大きなものだった。たった二人の海賊団でこのサイズの船は少し贅沢な気もするが、まあそれは仕方ない。


さて。船も購入して進水式も済ませ、堂々海賊を名乗るための準備は整ったわけだが、実際何をどうしたらいいのか分からない。海賊団ってどうやって立ち上げるもんなんだろう。どこかに申請したりするのかな。

船に荷物を運び入れつつそんなことを口にすると、ニューゲートが心底呆れたような顔をした。

「申請なんかあるか。海賊旗掲げて航海してりゃ海賊だ」

「へえ、そんなもんなのか。じゃあ海賊旗も用意しないとな。デザインはお前っぽい感じにしよう。ニューゲートが船長だもんな」

「そうなのか?」

「なのか?って、それしかないだろ。俺が船長やっても様にならないし。その代わり食事とか掃除とか洗濯とか、そういう細々した物は俺に任せろよ。ニューゲート、飯作るのだけはへったくそだもんな」

「やかましい」


出来上がった海賊旗を掲げニューゲートと並んで見上げる。うん、なかなかいいデザインだ。我ながらいいセンスだと思う。ニューゲートを模したそれは、強そうで大きそうだ。

「名付けて白ひげ海賊団」

「しまらねーなァ」

「えー」

そうかな。かっこいいと思うのに。


いつかこの旗の下に、ニューゲートを慕って多くの仲間が集うんだ。ニューゲートの考えに賛同して、同じように家族を大事に思ってくれる兄弟たちが。

そんな未来を想像し、俺は満面の笑みを浮かべた。





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