恋愛模様
プロローグ


俺は平凡だ。

自分で言っていて虚しくなる時もあるが、仕方ない。
本当の事だし。

しかし、俺は普通に楽しく平凡ライフを送っていた―――んだけど。
何でこうなってしまったのかは良く分からない。

まぁ、敢えて言えば―――否、敢えて言わなくても、母さんのせいであることには変わらないのだが。

母さんがあんなことを言い出さなければ、俺は虚しいながらも楽しい平凡ライフを送っていたと云うのに。


『優ちゃん、あのね』
『何だよ?』
『優ちゃんにはこの学校に行ってもらいたいの』


そう言って渡されたパンフレットを見るとそこには、“月城学園”そう書いてあった。
そこは全寮制の男子校。

行きたくねー。
何が悲しくてこの思春期に男子校なんぞに行かなきゃいけないんだ。
ましてや全寮制。


『嫌』
『え〜!……て言うか、もう入学手続きしちゃった!』


はあぁぁぁぁ!?
ちょっと待てよ!!
何勝手なことしてんの?!


『大丈夫よ!あそこはママの弟が経営してるから』
『弟って……、雅紀さん?』
『そうよ!それに直くんもいるし心配無いわ!』


直くんと云うのは俺の兄貴だ。
美形で頭が良く、周りからの好感度も高い自慢の兄貴。

姉や弟たち、母親や親父も皆美形なのに俺だけ平凡で、周りからも色々言われて来たがもう慣れた。

俺に出来ることは美形にはできるだけ近付かない、と云うこと。
まぁ、俺みたいな平凡野郎に近付いてくる美形なんて家族達だけだろうから俺が近付かない限り大丈夫だろう。


『仕方ないな……』
『ありがとう!あっ、入寮日は3日後よ』


3日後ぉ?


『たまには帰って来てよね!』


てめぇが全寮制の学校に勝手に入れたんだろうが。

なんて、言ったら後が怖いので僕は決してそんなことは言いません。


それにしても、この時『仕方ない』なんて思ってしまった俺は愚かだったのだろうか。

選択を間違えたか……?





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あきゅろす。
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