インチキ村のインチキ番長!7


消灯時間も過ぎて、人気が無くなった頃、俺は悠人の元へ向かっていた。
生徒会等の役員は7階に部屋がある。
うちの寮は7階建てだ。つまり、最上階。
俺は運よく6階なので誰かに見つかるリスクは減る。親衛隊とかに見つかったら大変だからな。


「悠人―」


無事に誰とも会うこともなく、悠人の部屋へと辿り着きインターホンを鳴らす。
俺何回も来てるけど未だに誰にも見つからないんだよね。影薄いから認知されてないのかな?まあ昔から悪運は強い方でしたけど。


「いらっしゃい、日和」
「おじゃましまーす」


直ぐに出て来た悠人に迎えられ、部屋に上がった。
ここ最近だと久しぶりかな?大樹の事とかもあるし、行事も近いから生徒会も忙しいみたいだしね。


「何か飲む?」
「んーじゃあ紅茶で」
「わかった」


悠人が紅茶を淹れてくれる間、我が物顔でソファに座って待つ。もう何回も来たから勝手知ってるし、昔から一緒にいるから遠慮なんてしようと思わない。


「はい」
「ありがと……ん、おいし」


相変わらず紅茶を淹れるのがうまい。ちなみにコーヒー淹れるのももすごく上手い。
一息ついたところで今日ここに来た理由を思い出した。
俺の計画を遂行するためには悠人が集めてくれた情報が必要だ。


「悠人―どうだった?」
「ああ……意外と簡単に出て来たよ。この学校もセキュリティ甘いね」
「んーまあね、そんな情報入ってないしね。キツイのはどっちかって言うと個人個人の家の方じゃない?」
「そう?」
「まあ悠人にかかればこんなの簡単か」
「まあね」


自信満々だなあ。
まあ悠人は昔から情報操作がうまかったしねえ。顔もよくて頭もよくて何でもできるとか。
完璧じゃんか。羨ましい。
まあ平凡は平凡なだけ動きやすいけどね!


「ちょっと見せてー」
「はい」


悠人から調べてもらった情報が書いてある書類を貰い、パラパラっと眺める。
お。バ会長以外の役員の情報もある。
流石悠人。仕事出来る男はカッコイイね。


「……ふうん?」
「ああ、それ面白いよね」
「これは使えそうだね」


俺が見ていたページを後ろから悠人が覗き込んで見て、頷いた。
バ会長の弱点みーっけ!
恥かかせてやんよぉ!!


「日和……(目的が微妙に変わってる……)」


おれの不敵な笑みに悠人が俺の考えている事に気付いたらしく、苦笑を洩らした。
日頃の恨みを晴らす時がきた。ウラミハラサデオクベキカ。
まあ、人の嫌がる事って楽しいよね!こんなことしてると自分がされても文句言えなくなるんだけどね。
まあその時は仕返しするまで。はっはっは。……はあ。


「……ふむ。……んあ?この、高峰龍輔って……」
「ああ。それには僕も驚いたよ」
「すげーこんな奴見た事無いわ……偽情報ってわけでもないよね?」
「その可能性は限りなく低いと思うんだけどなあ、どうだろう」
「まあ悠人の情報が間違ってる事なんて滅多にないしね。多分正しいとは思うよ」
「鳥肌立ったよ僕」
「俺も」


それにしても……なにこいつ、まじきもい。
きもすぎる。今時こんな奴いねえよ。
一体どうしたらこんな人間になれるんだよ。本当にありえない。

……この書類には、高峰龍輔の弱点となるようなものが一切書かれていなかった。





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あきゅろす。
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