受け継いだ物』(小説)
「かけがえのないもの」 3/4
「ラリホー!
久しぶりだなポルナレフ!
何年振りだ?
すっかり老けちまったなぁ〜〜〜?
若返らせてやろうか?
足も治してやろうか?
夢の中だからな!」

「なぁ〜んだ、夢か。
寝よ寝よ。」

「………。お前…俺を思い出さないのか?」

「……なんてな、忘れるわけねェだろ。生きてたんだな。
…俺を…殺しにきたのか?」

「いいや。別に恨みはないさ。
強いて言えば…花京院にはウンコ食べさせてやりたいけどな。」

「花京院は死んださ。
ディオに直接叩かれた…。」

「……そうか。」

「で?」

「で?って、周り見てみろよ。」

「……ポ・ル・ナ…
ポルナレフランドか!?」

「ああ、そうだぜ?
ぶったまげたか?」

「ああ…確かにこれはぶったまげたぜ…。」

「今や世界じゃ、ディズニーなんか流行っちゃいねぇ。ポルナレフランドの時代だッ!
子供から大人まで、そのメルヘンでファンタジーな世界に狂い悶えてるのさッ!喜びでな!」

気付けばまわりは人の群れ!
ポルナレフは目を見張った。

「好きにしろよ。お前の好きに。俺は場所を提供するだけだ。夢の中の場所をな。」


デス13の姿は背景に同化していくようにして、消えていった。





ポルナレフは様子見も兼ねて、しばらく歩くことにした。
楽しげな笑い声、笑顔、そして悲鳴。

「悲鳴?」

声のした方を見ると、子供たちが泣いている。

「怖いよォ〜お馬さんが怖いよォ〜!」

どうやらメリーゴーランドの馬のことを言っているらしい。

『なんだ?』

見た目は普通の馬であった。
不思議に思って近付くと、突然、馬の顔が取れた。

「ッ!!!」

「俺の名は切り裂きジャックだ!」

そう言うやいなや、突然馬ごとメリーゴーランドのレールから抜け出してきた。

「切り刻んでぇ〜〜〜
お前の血を〜〜
ベロンベロンしてやるぜェ
切り刻みィィィ!
切り刻むぅぅう!!」

迫る馬に、ポルナレフはスタンドを出した。

「うぉッ!咄嗟に出しちまったが、夢の中のシルバーチャリオッツは大丈夫なのか?」

「パミー!!!」

「って、ちっせー!
全然役に立たねー!」

なぜが幼少期のシルバーチャリオッツが現れた。

『アレッシー?
まさかヤツが?』

襲い来る馬から逃げつつ、辺りを見渡すと、作業員に扮したアレッシーがいた。

「てめぇッ!」

「こっちよ!!坊や!」

アレッシーに殴りかかろうとしたポルナレフを引っ張った人物は、あの時の女性だった。

「アンタは…!」

しかし、今のポルナレフは、スタンドこそ幼児化しているが本体自体はそのままだ。

「よく…わかったな。」

「アナタはアナタだもの…。
私を優しく包んでくれた、忘れたりなんかしないわ。」

「………。」

しかし、悠長に感動の再会をしている場合ではない。

「さ、坊や!早くこっちに!」

引かれて行った先は『マジックミラー鏡の館』だった。

「さぁ!ポルナレフさん!」

「ん?ああ、ありがとう、ネーナ。………ネーナッ!?」

「彼女のスタンドは本当に手強いのぉ!!」

親切な女性が突然ネーナに変わったかと思えば、次はジョセフが現れた。

「じいさん?
ジョースターさんか?」

「久しぶりじゃの。元気だったか?」

「元気さ…!あんたも元気そうでなによりだ!」

「お陰様でな。
じゃ、わし、この女帝を倒さにゃならんから、また後でな。」

「えっ?ジョースターさん?」

ポルナレフが止めるまもなくジョセフの姿は鏡の中に消えていった。

「ジョースターさん!」

「鏡の中に消える?
鏡の世界なんてありませんよ。下らないこと言ってないで、早く前に進んで下さい。」

すると後ろから、懐かしい声が聞こえてきた。

「か…花京院!」

「なんですか…幽霊を見るような目で人を見て…。敵はJガイル1人ではありません。」

「は?Jガイルだと!
アイツは…!」

ポルナレフが驚くと、鏡に人の影が映った。

「まさか……!」

「オレの姿が見えたのなら…!
お前はもう おしまいだッ!」

「誰だよッ!?」

焦るポルナレフをよそに、花京院は「僕の因縁の相手です。」と言ってこちらも鏡の中へと消えていった。

「花京院…!俺を独りにするな…。」

辺りは静まり返り、気付けば鏡も消えていた。
そして、見たことのある風景、背の高い草むらが広がっていた。

「ここはまさか…。」

「チッチッチッ…。」

「ッ…!?アブドゥル?」

「イエス I AM !」

「ワンッ!」

「イギーも……!!」

目の前には懐かしい顔ぶれがいた。

「アブドゥル…!イギー!」

しかし、その姿も直ぐに消え、目の前の光景は目まぐるしく変わった。

そして、僅かな落下感覚を得た後、ポルナレフは観覧車の中にいた。

「ジョースターさん?花京院?アブドゥル?イギー?」

ガションッ!ガガガ…ギッ

観覧車の椅子が壊れ、拡声器が現れた。

「ラリホー♪」

「デス13!
お前、今までどこ行ってたんだよッ!」

「やれやれ…
今度は椅子からか…。」

「じょ…承太郎ッ!?」

ポルナレフの隣には、いつの間にか承太郎が座っていた。

「ポルナレフ、この観覧車はヤバいぜ。下の川へ飛び降りる。行くぜ…。」

「飛び降りる?この高さで?
しかも川だと?
川なんかどこにもねーぞッ?
死ぬ気か?!」

ポルナレフが止めるのも聞かず、承太郎は観覧車の窓をぶち壊して、外へと出て行った。

「承太郎ッ!?
おいっ!承太郎!!!
承太郎ぉぉぉぉお!!」




「うるさいぞポルナレフ。飛行機の運転が上手くできんじゃないか。」

「おいおい、じじぃ。
また墜落ってことじゃねぇだろうな?」

「ジョースターさん大丈夫ですか?
あ、アブドゥルさん。
イギーが髪の毛むしろうとしてますよ。」

「こら、イギー。
もうガムはない!
むしるならポルナレフの髪の毛にしろ!」

「………みんな!」

「なんだ?ポルナレフ…。」

「あ、すまん。また墜落じゃ。」

「「「「 なにぃぃぃい?! 」」」」

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あきゅろす。
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