ジョルノが新パッショーネのボスとなってから、1年が経った。
組織としての体制もだいぶ整い、今はわりと穏やかな日々を送っていた。
そんな時、ふとジョルノはポルナレフのことを考えた。
『僕がギャングスターになれたのは、ポルナレフさんがディアボロを倒すヒントをくれたからだ…。
何か…お礼はできないだろうか?彼が以前話していた、昔の友人を招待しようか…。』
ジョルノは暫く考えたが、本人に聞いた方が的確だと判断し、窓辺で日光浴をしているココ・ジャンボに近付いた。
「ポルナレフさん?」
「あぁ…なんだ…?」
中からは、眠たそうな声が返ってきた。どうやら、彼も日光浴を…昼寝をしていたようだ。
「すみません。起こしてしまいましたね…。」
「いや、いい。大丈夫だ。
ついついこの亀の生活リズムに合わせてしまってな…。
これじゃあ、しみったれた爺さんになっちまう。」
ポルナレフはそう言って笑うとココ・ジャンボの中から身体を出した。
「で、なんだ?」
「はい…。僕がギャングスターになれたのは、ポルナレフさんのおかげですので、何かお礼を…と思いまして。」
「願い事かぁ…
願い事には苦い思い出があるんだよなぁ…。」
「すみません…。迷惑でしたか?」
「いや、そういうわけじゃないさ。ありがとう。」
「では、何かお願いします。」
「ポルナレフランドだ。」
「…………は?」
「ついに来たか!
って感じだなッ!
いやぁ〜生きてて良かった!
ってもう死んでるか!
はっはーッ♪」
「すみません…その…
何ランドですか?
ディズニーランドにでも行きたいんですか?」
ジョルノが少し困った顔で尋ねると、ポルナレフは「違う違う」と言って、真剣な顔になった。
「ポ・ル・ナ・レ・フ・ランドだよ。」
「…………。」
ジョルノの瞳が濁った。
「あの…何ランド…ですか?
ディズニーランドに行きたいんですか?逝きたいんですか?願い事はなんですか?」
「カメオより酷いな。」
「はい?亀ですか?もう一匹欲しいんですか?」
「いやいやいや、テーマパークだよ。俺の名前が入った。
ディズニーに匹敵するくらい…いや…それ以上のテーマパークだ。」
「………。
もうボケが始まりましたか…
困りましたね…。
医者である彼を…チョコラータを生かしておくべきでした…。
残念です。」
「治療させる気ないよな?」
「ボケですからね、ボケ。」
「…………。」
そう言うとジョルノはミスタを呼んだ。
「ミスタ、日本のトップを呼んでください。」
「日本?日本のトップかぁ…
替わりすぎててわかんねえよ。」
「わからないのか興味がないのか知りませんが、世界の情勢には必ず目を通しておいてください。」
「へいへい。
で、調べるか?
調べますか?」
「まぁ…いいです、テキトーに捕まえてきて下さい。
ただし、礼節だけは欠かないで下さいね。」
「了解。」
ミスタが去った後、ジョルノはポルナレフに向き合った。
「無駄ランド、造りましょう。日本の千葉で良いですか?」
「ん?どうして日本なんだ?というかポルナレフランドな。」
「日本とは交流がありますし、無駄なものを管轄下に置くのは無駄です。無駄無駄。」
「ナチュラルに酷いな…ってか、その口癖、何回聞いても慣れねぇなぁ…」
「あ…すみません…。」
「いや、悪い…その…。
仕方ないよな。
親子っつうのはそういうもんだからな。
過去をいつまでも引きずってるオレの方が悪い。すまん…。」
「ポルナレフさんが謝ることではありませんよ…
ディオの口癖…
嫌って当然です。
ああ…僕はどうしてこの無駄という口癖を無駄だとわかっているのに何度も無駄無駄と言うんでしょうか…本当に無駄だ、無駄なこと。無駄なことですよね…無駄なんだ…。だから無駄なことは無駄なんだ。本当に無駄な言葉を無駄に呟いてしまいすみません…。」
「……………。」
「どうかなさいましたか?」
「ん?ああ……。悪意しか感じられなくてな…。」
「そうですか…それはすみません。では、おやすみなさい。」
「は?え?まだ昼間…。」
「いいじゃないですか。」
「いや…いいって言われてもだな……。」
そう言いつつポルナレフは亀の中へと戻って行った。
ジョルノは窓を開け、外の景色を眺めた。
2羽の小鳥が此方を見ていた。
「なんです?僕に用ですか?」
勿論返事は無かったが、部屋には心地良い風が入ってきた。
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