こいつはなかなか手強い相手だ。
何手か打ち合い、イルーゾォと花京院はお互いにそう感じた。額に浮かんだ汗を拭いつつ、一瞬たりとも相手から目は離せない。肉体よりも、消耗が激しいのは寧ろ精神の方だった。
スタンドが使えない花京院は、マン・イン・ザ・ミラーの隙をついて直接イルーゾォに攻撃しようとしてくる。
そしてイルーゾォはそれをさせまいと、俊敏に動き花京院を翻弄し、マン・イン・ザ・ミラーの攻撃でダメージを与えていく。
怪我が大きいのは花京院の方だが、疲弊しているのは明らかにイルーゾォの方だった。
「お前、何者だ?ただの学生じゃないようだな」
「ただの学生さ。ちょっと変わった力のある、ね」
マン・イン・ザ・ミラーの拳をかわし、花京院は距離をとった。
イルーゾォに見えないように裾に隠して握っているのは、さっきポケットから見つけたシャーペン。うまく使えば、これでも十分な武器になる。
「どうせ、このままじゃ負けるんだ。一か八か……」
鏡の外のハイエロファント・グリーンが、ベッドを持ち上げ投げつける。鏡の中のベッドも同じように持ち上がり、イルーゾォに飛んでいった。
「マン・イン・ザ・ミラー!!」
イルーゾォの呼びかけに応じ、マン・イン・ザ・ミラーがベッドを受け止めようとする。
そのベッドに足をかけ、花京院はマン・イン・ザ・ミラーの頭上を飛び越えた。
「これで終わりだ、イルーゾォ!」
「こっちのセリフだ!そうくると思ったぞ、カキョーイン!」
イルーゾォの手には、鋭く光る鏡の破片。殺傷力はシャーペンより上だ、が。
(こいつは意識の半分をハイエロファントに向けている。隙をつければ―勝てる!)
花京院とイルーゾォはそれぞれに、お互いの急所をめがけて手にした武器を振るった―――
《―――――プツン》
【*前へ】【次へ#】
無料HPエムペ!