受け継いだ物』(小説)
「嗚呼彼等はなんと残酷な」 3/5
こいつはなかなか手強い相手だ。


何手か打ち合い、イルーゾォと花京院はお互いにそう感じた。額に浮かんだ汗を拭いつつ、一瞬たりとも相手から目は離せない。肉体よりも、消耗が激しいのは寧ろ精神の方だった。


スタンドが使えない花京院は、マン・イン・ザ・ミラーの隙をついて直接イルーゾォに攻撃しようとしてくる。
そしてイルーゾォはそれをさせまいと、俊敏に動き花京院を翻弄し、マン・イン・ザ・ミラーの攻撃でダメージを与えていく。
怪我が大きいのは花京院の方だが、疲弊しているのは明らかにイルーゾォの方だった。


「お前、何者だ?ただの学生じゃないようだな」
「ただの学生さ。ちょっと変わった力のある、ね」

マン・イン・ザ・ミラーの拳をかわし、花京院は距離をとった。
イルーゾォに見えないように裾に隠して握っているのは、さっきポケットから見つけたシャーペン。うまく使えば、これでも十分な武器になる。


「どうせ、このままじゃ負けるんだ。一か八か……」


鏡の外のハイエロファント・グリーンが、ベッドを持ち上げ投げつける。鏡の中のベッドも同じように持ち上がり、イルーゾォに飛んでいった。


「マン・イン・ザ・ミラー!!」


イルーゾォの呼びかけに応じ、マン・イン・ザ・ミラーがベッドを受け止めようとする。
そのベッドに足をかけ、花京院はマン・イン・ザ・ミラーの頭上を飛び越えた。


「これで終わりだ、イルーゾォ!」
「こっちのセリフだ!そうくると思ったぞ、カキョーイン!」


イルーゾォの手には、鋭く光る鏡の破片。殺傷力はシャーペンより上だ、が。



(こいつは意識の半分をハイエロファントに向けている。隙をつければ―勝てる!)



花京院とイルーゾォはそれぞれに、お互いの急所をめがけて手にした武器を振るった―――











《―――――プツン》

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あきゅろす。
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