受け継いだ物』(小説)
「Metodo di cottura felice」 1/4
特大の欠伸は途中で止まってしまった。






目を見開く僕。


吹き荒ぶ風。


足元に転がる人。


さて、何が起きたのやら。


実にミステリー!


寝起きの僕の頭じゃあ、うまいこと考えが纏まりそうにない。


とりあえず、この人はどうしたんだろう……?


具合でも悪いんだろうか?


それとも酔っ払いとか?


いや――酔っ払いじゃあなさそうだ。


よくよく顔を覗き込めば、その顔色はすこぶる悪い。


大丈夫か、この人……?



(救急車を呼ぶ?いや、警察?う〜ん、何にもされてないしなぁ……)



しばしの沈黙を、冷たい風が切り刻んでいく。



「も、もしもォ〜し……?」



恐る恐る声をかけたが返事は無い。


トントン、と、肩を叩いてみても、驚く程の無反応。


さて。



(参ったなァ……)



今日は久々に出掛けてみようかと思ってたんだけど。


仕方ない。



(僕もほとほと呆れたお人好しだな。)



玄関先に僕を待ちかねた牛乳を置き去りに、僕は自分より随分大きな身体をよいこらしょと抱きかかえた。


朝と共に迎えた、僕と彼の奇妙な出会い。

【次へ#】

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!