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SILVER SOUL
U


町を歩いていたが、どうやら此処は“かぶき町”と言うらしい。ほう。あの有名な歌舞伎町か…。

いや、違う。

私が知っている歌舞伎町とはあきらかに違う。
まず、なんでこんなに“人間じゃない生物”がうじゃうじゃといるんだ?
これは私が知っている江戸ではない。それだけは確実に言える。

わたしは周りのものを脳に沁み込ませるみたいに、じっくりと、ひとつひとつをインプットさせていった。


「……なんか、見たことがある気がする。」


なんだろう、この懐古の気持ちは?

わたしは何か思い出しそうになって、その場に立ち止まった。

人通りが多い中で急に立ち止まったため、周りの人は危うく私にぶつかりそうになる。
そんな中で。


 ドンッ


「ってえなああああ、嬢ちゃんよおおおお??」

睨み付けてやったのは、ヒョウ柄の着ぐるみをした生物3体だ。(こいつら絶対に人間ではないだろう)
明らかにお前らがぶつかって来たんだろ?とでも言いたくなる様なぶつかり方。へたくそだな。
ああ、かなりベタ過ぎる。こんな展開。

まだ自分は夢だと思っているのか、全く冷静に客観的判断が出来る。もともとこんな人間だったのかな。
とかなんとか考えていると、私のあっさりした反応に少々苛ついたのか、ヒョウ柄の着ぐるみを着たチンピラ3人組みは、私をじろりと見て鼻で笑った。


「おい、なかなかカワイイじゃねえか?」

「金になるかもなあ・・・」

「ちょいと、慰謝料代わりに付いて来てもらおうか、嬢ちゃん」


くっくっく、と下劣な笑い声。ホントに生臭ェ野郎だな、畜生。1人が私の腕を触ろうと手を伸ばす。
だが、結局は触れることすら出来ない。


「ぐぶぁっ」


自分でもなにをしたのか全部は分からないが、今自分の身体が動いた。
そう、私がそいつを殴ったらしい。


「(……なにか習ってたのかな)」


殴られてのびている奴と、それを殴った拳を交互に見てのんびりと考えていた。


「んだ、コイツっ!!」


と、はたまたそこに、ワンテンポ遅れて他の2人が私に襲い掛かってきた。


「う、おおおおおっ」

「なめんな小娘ええええええ」


あ、頭痛が…こんなときに。
拳が私の頬を掠めると思った。そして、ダメだと分かっていても自然と反射的に目を瞑ったそのとき。



 



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あきゅろす。
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