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トリップ
二十話
「おはよーごじゃりまふー…。」

今日もいい天気だなぁ。おひさまがまぶしいぜ。

「おい、眉間に皺よってるぞ。」

「あ、景吾。今日もいい男だぞー。」

「なな、何言ってんだ!お前頭イカレたのか!?」

そんな事は今更じゃし。さあ、頑張って部活だコルァ!



「足元おぼついてないで?放っといてエエん?跡部。」

「具合悪いかって聞くと違うって言い張るんだよ。危なくなったらなんとかするさ。」







うーん、一現目は数学かぁ。私苦手なんだよねー。とかいう時に限って先生に指されたりするんだよね。

それにしても、私は何でこんなに顔が熱いんでしょう?

「…い、おいみるく…指されてんぞ…。」

「え?あ、はい……?」

うわぁ、教室中が曲がって見える…。

「みるく!!っと、危ねぇなあ。先生、こいつ熱あるみたいなんで保健室に連れていきます。」

あれ?私倒れた?しかも跡部が支えてくれた?









「…ごめん、景吾。迷惑かけちゃったね。」

「アン?ごめんじゃねぇだろ?こういう時はありがとうと言うもんだ。」

「ありがと。」



授業抜けてまで私を運んでくれたし。しかも恒例の姫抱っこ。



「具合悪いんだったら無理すんなよ。目が放せねぇだろ?」

うぅ、何かスゴく恥ずかしい事言われてる気がする。こんな時でもキュン。

「私、矢鴨な気分。」

「やがも?」

「矢が刺さった鴨。」

「…俺はお前のハートに矢を刺しちまったのか?」

「ビンゴ。」

だって目が放せないだなんて、殺し文句じゃん。

「フッ…遠回しにくせぇこと言ってんじゃねぇよ…。」



ギシッ



「…景吾?」

何で私の寝ているベッドに腰掛けるの!?イヤー先生早くトイレから帰ってきてー!私、私犯され…!!

ちゅ

「なっ!?何なにナニッ!?」

「ばか、あんまり大声出すなよ。身体に障るだろ?」

や、だって私のデコにちゅ〜したじゃんよアナタ!!!!

「風邪菌吸い取っただけだ。…なんてな。じゃあ、また後で授業終わったら行くからな。」

ピシャン

「う、やっぱりカッコイイ…。」

惚れ直しちった。っていうかこの風邪はやっぱ忍足からもらってしまったんだろうか?

ま、いいや。とりあえず寝よう…。









「…………?」

私の頭を撫でているのは誰?

「…みるく…ごめんな…?」

忍足?

「……ん……?」

「…何や…起きとったんか…。…ごめんな…?」

何でそんな悲しい顔してるの?らしくないぞ?

「俺が見舞いに来てほしい言うたから…。」

「…なんだ。そんなこと…。私は侑士の風邪菌を吸い取ったの。だから侑士は悪くない。」

「でもな…。」

「それでいいの。認めてくれないとその悲しみに満ちた顔、写真に撮っちゃうぞ?」

眉八の字にしちゃって。情けないよ?…萌えるけど。

「ほな、次は俺が責任取って直接風邪菌吸い取ったるわ…。」

ギシッ

「何おおいかぶさってんのよ。」

「…口、開いとけや…。」

ぎゃあ〜!!!!私の唇が!!奪われる〜!!ねちっこいキッスされちゃう〜!!!!



「お・し・た・り〜?病人に手ェ出すたぁ腐った根性してんじゃねぇの?」



ガスッボカッボキッ

「ふぅ、大丈夫かみるく。」

「景吾!ありがとう、エロ魔神から救ってくれて。」

「礼を言われる程の事じゃねぇよ。それより、熱高ぇみたいだから早退の手続きしといた。」

跡部って以外とまめな男だったんだ。ってか私、そんな熱あるのか?

「38度もありゃあ倒れもするだろ。車出してやるから。」

ゲッ、さんじゅうはち度!?そりゃ倒れるわ。

「じゃあ、お言葉に甘えさせていただきマス…。」

と、いうわけで家まで跡部の家の人に送ってもらった。

「…うぅ…ダル。とりあえず寝よ…。」









…あれ?…あれ、今何時…?時計時計ッ…ってわー!六時!?寝すぎだ私!!

「…ぐほー…怠くて動けなーい…。」

ピーンポーン

「…えー…こんな時に客人…?」

ちょっと待ってー!私今動けませんのことよ。

かちゃん

って開いた〜!!!!イヤーッドロボー!?殺される〜!!!!





「おい、大丈夫かってか、鍵かけてねぇし。不用心すぎるぜ。」

はっ、その声は!!

「ひっひー!」

「…そんな抜けた名前じゃねぇし。生きてたか?」

「ごめー、ちょっとノドっていうか口が渇いちゃって。」

「じゃあコレでも食べてノド潤せよ。」

あ、林檎に梨。しかも剥いてあって切ってあるし。

「きっと何も食ってないと思って剥いてきた。」

え?ってことは宍戸さんが剥いてきたってこと?

「あ、みるくんちはどこに薬置いてあんだ?」

「台所のレンジの横の箱の中。」

「…ってかさ、お前…制服のまま寝るなよ…。」

え?あれま。スカートがシワだらけ。

「あぁ〜ああ〜…スカートが〜。」



「(そうじゃねぇよ!足ッ足丸見えなんだよ!!)」



ってかブラウス汗だらけだし。

「着替えるね?」

「あ、ああ。」



……おい、宍戸はん。何でここから出ていかないのさ…。

「しっしー?私の着替えシーン見たいの?」

「へ?あ、いや!すまねぇ!!」

バターン

「…純情ボーイ…。」







「おーい、しっしー!着替えおわったよー!」

…かちゃん

「おー、薬持ってきたから林檎でも食ったら飲め。」

「あ、ありがとー!」

「って、パジャマのボタン外しすぎだお前!!!!」

え?二個外しはダメなの?ってか留めてるし。

「………………。」

黙り込んじゃうし。



「おわっ!しっしー、何ボタン開けてんの〜!?」



ぎゃー!いきなり大胆伝説〜!!!!

「へ?…わっ!何やってんだ俺!!」

男の本能デスカ!?あー、びっくりした。

「や、マジ意識飛んでた…。すまねー。」

「私こそ男の本能を擽るような事してゴメンよ。というか、土下座はやめて。」

私は監督じゃないんだから。

「じゃ、とりあえず林檎いただきまーす!」

「お、おう…。食え。」

「ん。おいしー。」

「そか、よかった。」

宍戸さん、目が泳いでる…。

「ほら、さっきのこといつまでも引きずらないの。逆に私が襲っちゃうぞ?」

「…遠慮シマス…。」

「あ、そだ。しっしーにお願いがあるんだけど。」

「?何だよ。」

「私、怠くて動けそうもないから、洗濯物とりこんで?」

下着やらも干してあるけど、こればっかりは仕方ないもんね。

「ちょっときついかもしんないけど頼める?」

「?なんできついんだよ。とりこめばいいんだろ?」

あ、気付いてない。ちょっとこの天然さんをしつけてあげて〜!

「じゃあ、頑張ってとりこんでクダサイネー!」

あーあ。行っちゃった。ちゃんととりこんでくれるかな。



◆続く◆


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忍足さんの風邪をもらっちゃいました。風邪っぴきさんになってしまいました。ここぞとばかりに迫り来る
男性陣。弱ってる今が狙い時ですからね。宍戸さんはとてもいいとこまできたんですが純情さに負けてしまいました。(笑)
そして洗濯物をとりこめるのだろうか?頑張れ宍戸!根性みせたれ!(笑)
write.2005/09/25

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あきゅろす。
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