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可愛い花にはご用心?(宍戸)
「亮ちゃん、確保ぉー!」

「どわ!…ってみるくか。恥ずかしいから離せ!」



俺の可愛い彼女、みるく。コイツには少し困った癖がある。

「あは、またやっちゃった。ごめんね。」

それは抱き付き癖だ。女友達、そして俺にだけだが。

「でもね、亮ちゃんは特別なんだよ!だって男の人で抱き付くのは亮ちゃんだけだもん。」

「それはいいんだけどよ、俺…恥ずかしいんだよ!」

確かに男で抱き付くのは俺だけだが、あまり免疫のない俺には刺激が強い。



「亮ちゃん真っ赤ー。」

「…はぁ、もう俺の負けだ…。」

ちっちゃくて、くるくる表情の変わる俺の彼女。可愛くて可愛くて仕方ない。

実際、コイツが女友達に抱き付いているのを見ると何となく得した気分になる。可愛いモノ達が戯れている、と。





「今日は屋上でお昼食べよ?」

「ああ。」





「今日はね、チーズサンド作ってきたの!」

「え?」

「えへへ、おーとりクンに聞いちゃった!亮ちゃんの好きなもの。」

そんなさり気ない事が、俺にとってかなりの幸せだ。

「ワザワザ調べたのか?」

「だって、喜んでほしかったから。私、亮ちゃんが喜んでる顔大好き!」

「…そーか。」

「えへー、もっと撫でてー。」

(何なんだこの可愛い生き物は!!!!)









「先客かいな。お、みるくちゃん!と宍戸。」

「!?ッ俺を取って付けたように言うな!」

「アン?バカップルか。」

「ほっとけ!」



昼休み、決まって邪魔してくる跡部達。ほぼ毎日こんな感じで来る。嫌がらせだ。そしてみるくを狙ってくる。



「宍戸にはもったいない子ぉやなぁ。」

「宍戸なんかやめて俺に乗り換えちまえよ。」

俺を散々けなした後、みるくにベタベタしてくる。俺だって我慢の限界だ。と、怒鳴ろうとしたのだが。

「亮ちゃんのこと悪く言わないでぇ!」

先を越されてしまった。しまいには涙をためて跡部達をポカポカ叩き始めている。

まあ、ダメージを与えようとしていないから二人とも和んで微笑んでいる。

「はいソコ和むな!」

「微笑ましい光景じゃねぇか。」

「世界平和に繋がるわぁ。」

みるくの小動物オーラにやられたのかキャラが変わってしまっている。

「キショい。ほらみるく、そんな奴ら放っておいて昼飯の続きだ。」

「はーい!あ、デザートはウサリンゴさんね!」



まったく、本当に可愛い。恋は盲目とは、よくいったものだ。テニスを疎かにしているわけじゃないが。

「あーあ、宍戸がおかしくなってもた。」

「鼻で笑われた気がするんだが。」

何を言われても俺はコイツが好きなんだ。渡す気はない。











「ねー亮ちゃん、ちゅーして?」

「…!?な、おまっ何言って…。」

「だって、付き合ってから何もしてないじゃん。私、自信なくしちゃうよ…。」

放課後部活も終わり、帰り道での一言。唐突にそんな事を言われて混乱する。



「や、あの、だから…そういうのは…苦手っつぅか、えーと…。」

「あ、ごめん…じゃ、ぎゅってしてくれる?それで元気出るから!」

「…お前な…無意識なのか…?」

えへへー、と笑うみるく。これで無意識じゃなかったら俺が単純で騙されている事になる。

「ま、そんな事あるはずねぇな。」









ある日、教室でざわめきが聞こえた。しかも中心に居たのはみるく。さらに昼寝中。

「…あ、宍戸くん見てよ!みるくったら昨日寝不足らしくてこの有様よ。」

「しかも原因が『亮ちゃんにもっと美味しいおべんと作ってあげるんだー。』だよ?」

「男子がデレデレした顔で寝顔見てるし。」



「…ん…んー…りょーちゃ…それはだめだよぉ…。」



撃沈。いや、激沈。犯罪的だ。

「寝言までノロケなのねー。はあぁ、幸せでちゅね、宍戸くん。」

「う、うるせっ!オイみるく!」

「ん、んー…う?…だぁい好き…。」

「え?ちょ、うわっ!」

恥ずかしいことを言うコイツに耐えかねて起こす。が、起きたかと思えば寝呆けて押し倒された。

「…素で大胆よね。」

「…はぁ…身がもたねぇよ…。」











そんな俺に人生最大のピンチというかチャンスというか…そんな瞬間が来た。

切っ掛けは「亮ちゃんち行きたい!」そんな訳で今、みるくが俺の家に来ているわけだが…。



(彼氏の家にキャミソールで来るかお前!!)



決して肌の露出が多いわけではないのだが俺にすれば少し刺激が強い。しかも何かふりふりのレースが沢山で可愛い。

「亮ちゃん犬飼ってるの?可愛い〜vv」

それから、スカートもふわふわしてる。

(こんな可愛い生き物が存在してていいのか!?)

「うひゃあ、くすぐったぁい!」

い、癒しだ。マイナスイオンが発生していると言っても過言ではないだろう。

「じゃれてねぇで入れよ。」

「あ、はーい!お邪魔しまーす!」







「てきとーにくつろいどけよ。」



台所に来たものの、好きな飲み物とかわからないし…。なんて思う自分がいる。

(はあ、色んな意味で重症だ。)



「…ココアでよかったか?」

「うん!ありがと、ココア大好き!」

「そーか、なんとなく好きそうな気がしたから…。」

「えへ、以心伝心!」



楽しく話をしているとあっという間に時間がすぎた。

そして俺がトイレから帰ってきたら…。



「……くー……すぴゃー……。」

「!!!?」

(寝るな!!彼氏の家だぞ!!!!危機感もて!!)

俺のベッドの上で小さくなって寝ていた。

いや、何かスゴい可愛いのだが、本当にコイツは危機感がないのか。



「…おーい、起きろ。」

(俺だって男なんだぜ?)

「……ん、むぅ……。」



いつしか俺は寝顔に、唇に、柔らかそうな身体に、見とれていた。



「…こら、襲うぞ。」

ふわふわしたスカートから覗く白い足。太もも辺りまで捲れていてとても扇状的だ。

そっと手を太ももに置く。

「…みるく。」



自然と、みるくの唇に自分の唇を重ねていた。



「……ッ。」

眠っているコイツに手を出してしまったことに少し罪悪感を感じて、唇を離す。

「…亮ちゃん。」

「ッ!!!?な、起きて…!?」

ふと見れば目を開けている。驚いて身体を離そうとした。

「シたいなら、言ってくれればいいのに。」

「え、ちょ、みるくッ!!」

しかし、いつの間にやら押し倒されている形になっている。

そしてみるくの目は座っている。

「…ん〜ふふふふふ…。」

「!?!?!?な、な、な、何して…。」

ぐりぐりと俺に擦り寄ってきた。健全な男子にそんな事をするなんて酷だ。





「……んー……すぅ……。」

「…………………………。」



これはもしかして、寝呆けられたのだろうか。

「………みるく?…はぁ…起きてくれ…。」







それから三十分後に起きたみるく。さっきの事は覚えていなかった。

「ごめんね?昨日緊張して眠れなかったの…。」

「いや、気にすんなよ。(俺の方が謝った方がいいのか?)」

「でもね、いい夢見れちゃった!亮ちゃんにちゅーされた夢!」

「…あ〜、それ…夢じゃねぇよ。」

たぶんこれを切っ掛けに言った方がいいのだろう。



「ごめん、眠ってるお前に…キスした。」

「…え?」

「…!?ッちょ!?な、泣くな泣くな!!…ごめんな?」

不意に泣かれて焦る。

「ごめ、違う…嬉しいの。」

「そうか…ほら、もう泣くな…。」



こんな事があり、俺らの仲は一層深まった。

しかし、後で判明した事だがみるくは寝呆けると大胆になるらしい。

俺は、そのうち男になるかもしれない。



「亮ちゃん!今度は、お泊まりしたいなvv」



END


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天然小悪魔さん…。(汗)
うがあ、天然が一番恐いよ。そして砂吐いちゃうよ。やばーいやばーい。
やっぱりちょっとしたお色気要素が必要ですよ。ぎゃふー。

ここまで読んでいただき、ありがとう御座います。
こんなんですが、感想頂けると嬉しいですv
write.2006/02/27

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