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猫と秘密がやってきたB(忍跡)
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「そっか、俺…そういう存在なんだ…。」

「景吾…?」

「何となく、そんな感じはしてたんだ。忍足に会う前に、追いかけられてた時に…。」

今までにないくらいに景吾が真剣な顔つきで話している。

「正直、オリジナルの記憶を蘇らせて敵陣に乗り込んだ方がいいと思う。」

「部長…。」

「その前に、ちゃんと忍足に抱かれたい。」

「な、景吾!?」

「まだ一度も…入れてもらったこと、ない。」

赤くなりながらも、そう告げた景吾がいとおしい。

「まったく、部長といい宍戸先輩といい、人間の時の記憶は2%しか残っていないはずなのに…。」

日吉が悲しげに瞳を揺らした。

「帰りたかった場所は…忘れてないなんて、皮肉なものですね…。」

「日吉…!」

「明日また来ます。」



日吉はそのまま出ていった。景吾は俺にキスをして。



「抱いて、忍足…。」

「景吾…ん、さっきイカせたばっかりやのに…大丈夫か…?」

「うん、平気だから…。」

初めて景吾を抱くのに、嬉しいよりも悲しいが上回るなんて、泣けてくる。

「…手加減…せぇへんよ?」

「…ぁ、あ…んっ…忍足…。」

首筋にキスを落とし、服に手を入れて乳首を刺激する。耳と尻尾が揺れて、甘い吐息が聞こえてきた。

「気持ち、エエの?」

「ぁん、乳首…感じる…っ。」

「…景吾…。」

押し倒して服をすべて脱がせる。乳首に吸い付き、景吾のモノを軽く握り扱く。

「…や、ぁ…はぁ、あっ…忍足、もっと…。」

「強く?」

「ぁ、あっん…気持ちイイッ…はぁあん!」

出会った時よりも色っぽく成長した景吾。そういう目的で作られた存在だなんて、考えたくないのに。

「…ふ、にゃ、イク…ん、ぁあ!」

「出して、や。」

「忍…ぁっ…やぁああッ!」

俺は白濁を景吾の後ろに塗り込む。受け入れようと必死で力を抜こうとしている姿は腰にくる。

「…は、ぁ…っやん……。」

「一本いくで?」

「…っぁ、あ…ダメ、気持ちィ、んっ!」

すぐに快楽に変わる身体。

「…そこっ…やぁんッ…ぁあ、はぁん…!」

求めてくれるのも、そういう風に出来てるから?



「入れるで?力、抜いときや?」

「っい、ぁああ…ッ忍、足…んぁ、あ…っく…!」

「痛いか?っごめん、な。」



「…俺、が…っお前の所に、来たのも…ぁ、求めるのもっん、ぁ…お前だからだ、やぁっん!」

俺の不安を読み取ったのか、痛いはずなのに俺を気遣うように話を始める。

「…オリジナルが、お前を…っふぁ、好きだから、きっと…ッはぁあ、あ…!」

「景吾…!」

「…あっぁ、あ…イッちゃう…忍足っ…!」

「俺も、出すで?」

「っにゃ、あ…ぁ、はっ…ぁあぁああッ!!」



翌日、宣言通りに日吉が来た。

「いきますよ?」

「ぁ、ん…そんなに奥にあるのかよ…やんっ!」

どうやら随分と奥にオリジナルの記憶を呼び覚ます場所があるらしい。耳をピクピクさせて耐えている。

「ッ!!」

景吾の身体から力が抜けて床に倒れた。



「…景、吾…?」



「…ん……忍足…?」

「景吾!」

「景吾か…変な感じだな…。」

急に景吾の雰囲気が変わる。今までの景吾ではないことが伝わる。

「いっつも跡部って呼んでくれてたのに、なぁ。」

「……。」

「でも、景吾の記憶は消えてないみたいだから、安心しろ。」

すりすりっと俺にすりよる姿は景吾のままだ。力が抜けてへたりこむ。

「良かった…。」



「日吉…。」

「部長…っ!」

景吾に呼ばれた途端に日吉が堰を切ったように泣いて。

「誰からも忘れられてたなんて…怖かったよな?よしよし。」

「…跡部、部長っ…ひっ…く…。」

「役得、だな。」

「っうる、さいです…っよ…。」



日吉が落ち着くまで待ち、覚悟を決めた顔で俺を見た。

「絶対、日常に戻しますから。」

「忍足、本物の俺様が戻ってきたら…俺が本物の顔、引っ掻くから。幸せになんねぇと許さねぇからなって。」

「じゃあ跡部部長、30分後に学園の入り口で。宍戸先輩もいますから。」

「おう。」



部屋に景吾と二人きりになる。変な沈黙が訪れる。

「景吾…。」

「こら、俺今…抱かれたいのスゲェ我慢してんだから…。」

「え?」

「優しくされたら、決心が折れちまうだろ?」



触れたいのに、触れてしまえば景吾は非日常を望みたくなるなんて、悲しすぎる。



「もし、このままの姿で生きてても、猫の姿でも、消えちまっても、忘れないから、な。」

「景吾…。」

「一番いいのは猫の姿で、お前らの事を忘れちまう事だな。でも、本物は引っ掻きに行くから。」

「待ってる、で。」

「おう。じゃあ、行く前に『跡部』って呼んでくれ。」

「…跡部、頑張ってな…待ってるで?」

泣きそうになるのを抑えて、笑いながら見おくる。景吾の瞳が微かに潤んで。

「またな、忍足…。」

「必ずっ…帰ってくるんやで!約束やぞ…絶対やからな!」

どうか神様、どんな姿になっても景吾が生きることを許してください。

続く
――――――
▼後書き▼
景吾は跡部へ戻りました。しかし、本体ではないのです。ちなみに、忘れてしまった方が生きていく上で
楽だけど、忘れたくないっていうのが本音なんです。だから、忘れないと言ったり、忘れたいと言ったりしてるのです。
write.2008.06.08

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あきゅろす。
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