カキツバタ 2 TAITO SIDE おっくれってる〜、とかってぶざけやがった栄二をぶん殴って話をただした。 こちとらイライラしてんだよ。 「もぉ〜大兎ったら暴力的なんだから〜……須藤愛梨ってぇのはぁ、会長の親衛隊隊長だよ。因みに遊佐の同室者」 「へぇ?要注意人物が同室者って最悪じゃん。じゃあ二人がタッグ組んでるかもしんねぇのか……」 「それはねぇな」 「え、なんで」 そんな似たような奴らが同じ部屋だったら絶対仲良くなりそうだし、言いたくねぇけど俺を虐めるっつぅ共通点があるから共同してそうなのに。 首を傾げると、栄二は持っていたスプーンを揺らしながら少しだけ冷たい眼差しをした。 「だって遊佐と須藤って犬猿の仲だもん。ていうか、須藤が一方的に遊佐を嫌ってるっつぅか?」 「そうなのか?」 「何でも須藤は自分よりも人気がある遊佐を気に食わないんだと。だから遊佐が会長を誑かそうとしたとかって須藤が勝手に言い触らして、一時期会長の親衛隊と遊佐の親衛隊が小競り合いをした…… とかって噂だぜ〜!」 淡々と話すもんだから俺も真剣に聞き入ってたのに、急にふざけられて椅子から落ちそうになった。 「んだよ!噂かよ」 「そりゃね〜俺、親衛隊とか全然興味ねぇし」 「その割りには随分と詳しいな」 仁が何でか栄二を睨むようにしていきなり会話に入ってきた。 つか、睨んでるってか訝しがってるようだ。 最近そんなことが多い。出会った当初、仁と栄二は仲良く話してる事が多かったのに、今じゃ俺を通してしか会話をしなくなっていた。 喧嘩でもしたのか? でも睨まれている栄二の方は怯むことなくニマニマしてる。 ちょっとキモいが、喧嘩って感じじゃなさそうだ。 「あの時って、もう皆知ってる感じだったじゃん」 「……そうか?」 問い詰めるみてぇに仁は目を細めた。 「そうだし。寧ろ俺は仁がその噂を知らなかったことに驚きなんだけど。」 「……興味なかったからな」 「興味なくても聞こえてくるっしょ。まぁいいけど」 あれ?何かいつの間にか栄二の方が問い詰めてる感じになってる? 何となく不穏な空気になったが、すぐに栄二が「それよりさぁ〜」と話題を変えてきて、結局その話の続きはされる事はなくなった。 続きがあったのかは知らんけど。 まぁとにかくわかったなは、遊佐ってやつと須藤ってやつは、性格悪いってことだな! 近づかねぇように気を付けよ。 この後、俺と遊佐が体育祭の実行委員に選ばれることになるなんて、この時は知りもしなかった。 [*前へ][次へ#] |