銀森(あかり様より)
カーテンを閉め忘れた寝室の窓から、月明かりが射し込んでいた。森田がうっすらと目を開けると、隣にいる男の銀髪が美しく光っているのが見えた。それをぼうっと見つめていると、銀二もすっと目を開く。

「なんだ…眠れないのか?」

もぞりとシーツの中で動くと、銀二の白い肩も月光に照らされる。森田は先ほどの情事を思い出しながらいいえ、と軽くかすれた声で答えた。

「ふと目が覚めて…」

目を細めて窓を見やると、銀二もそれに気づいたようでそちらへ目線をやった。

「満月、ですかね…?」

光の明るさを見てそう言うと、銀二はそうだろうなと答えた。シーツの波が白銀に光り、幻想的な雰囲気だと森田はぼうっと思った。

「月なんかなくったって困らねえのにな。」

小さく笑いながらそう言われて、森田はだめですよと困ったように笑う。

「今、銀さんすごく綺麗なんですから…」

とろっとした目で見つめてそう言うと、銀二も確かに綺麗だ、と
森田の頬を辿る。森田は少し困ったように笑った。それが照れた時の表情だと知っている銀二は愛しそうに目を細める。森田はそれに、と続けた。

「愛してるって言葉が、ひとつなくなっちゃいます。」

一瞬なんのことかと銀二は数度まばたきをするが、言いたいことがわかってああ、と納得する。月が綺麗ですね、という言葉で愛を表すことが言いたいのだろう。ずいぶんかわいいことを言う、と薄く笑った。

「なら、新しく作ればいい。」

そう言ってやると、森田はぽけっとした顔で銀二を見返した。

「言ったじゃねぇか。…お前は俺の翼だ。」

言葉とともに唇をなぞってやると、森田の頬が赤くなった。一度恥ずかしげに視線をそらしてずるい、と呟く。

「それが、銀さんの愛の言葉ってこと?」

ニヤリと笑ってやれば、森田はすっと視線をあわせてじゃあ、といやに真剣な瞳で見つめてきた。

「ずっと、あなたの隣にいます。」

銀二は何も言わなくてもそれが森田なりの愛の言葉だとわかった。森田ははにかんで、照れ隠しなのか銀二の胸に顔を押し付ける。そのとかれた髪を銀二は丁寧に撫でてやった。

「おやすみ、森田。」

たっぷりと愛を含んだ声でそう言ってやると、森田はずいぶん満足したらしい。ほうっと息をついておやすみなさい、と小さく言う。その腕はそっと銀二の腰の辺りに回された。銀二はそっと目を閉じる。

「銀さんがいるなら…月なんてなくてもいいです。」

穏やかに笑いながら森田が言い、銀二は馬鹿野郎、と笑った。


fin.






あかり様との相互リンクの記念にと書いて頂いた銀森です。
萌え死ぬとはこの事を言うのですね。愛爆弾投下によるテロですよ。美しくて可愛らしくて、且つ格好良くてイチャイチャラブラブ……そんなものこの部屋に存在していないでしょうが天井のシミになりたいと心底思いました。穴が開くほど見まくりますね!
私からの捧げ物があの良巽で良かったのか不安になる非常に素晴らしい作品を書いて頂けてとても幸せです。ありがとうございました!




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あきゅろす。
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