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「そうだなァ。昨夜の話じゃミスターはシュクルを助けに来たみてぇだし、一番怖いのはアラギジルだよな」
「うん……」
「ハルトさんはどう思います?」
「自然な考えだとは思う。しかしシュクルの過去が全く分かっていない故、他の者から狙われないとも限らない。常に最悪の事態は考えておかなければ」

 ハルトは腕を組む。

「シュクルが行くというならば、私も同行しよう」
「オッチャンも行くぞ!」

 ジャンが親指を立てて自分を指した。

「ジャンはダメ。アシャよりも弱いわ、特にオツムがね」
「ひでェな嬢、そうハッキリ言うなって!」
「本当の事でしょ? それにお店どうすんのよ。
 で、アンタはどうなのかしらねぇ?」

 ベニアが片眉上げてハルトを見る。

「姐さん知らないんですか? 記人ってそこらの用心棒なんかよりもずっと強いっすよ!」
「そうなの?」
「訓練は受けている」
「ふぅん、面白いじゃない」

 ベニアが好戦的な笑みを浮かべる。

「でも残念ね。万が一ボウヤの熱が下がっていた場合は、本屋敷に来るようにってマナエンからの命令があるの」

 ベニアがハルトに封書を渡しながら言った。ボルドーの封蝋を見てハルトが大きな溜め息をつく。

「姐さん、『万が一熱が下がっていたら』っていうのは『陽の毒が消えたら』っていう意味とは違うと思うんすけど……」
「なによ」
「領主様は『陽が入ったという自分の考えが間違いで、ただの風邪だったら』っていう意味で言ったんですよ。陽が入っちゃった人に来いだなんて誰も言いませんもん!
 それにおいらが薬を持ってやって来るなんてことも、領主様が知るはず無いじゃないですか」
「……マナエンの命令を無視するなんていい度胸ね」
「だーかーらー、そういう問題じゃないっすよ! ほら今だっておいらの話聞いてなかったでしょ? 姐さんせっかちだから、ちゃんと命令聞く前に飛び出したんじゃないですか?」
「うるさいわね! バカじゃないんだから命令くらいちゃんと聞けるわよ!」
「あんまりピーチクパーチク言ってると口塞ぎますよぉ? おいらの口で」
「息の根止めてやろうか」

 アシャの喉元に剣が突き付けられる。



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あきゅろす。
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