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「ロッソがそうしたいからさ」

 ヒフミはある部屋の前に来ると、シュクルに入るように促した。
 中には椅子が二脚置いてあるだけで、窓も何もない。
 ヒフミはシュクルを椅子に座らせると、自身は立ったまま話し続けた。

「この世界には色んな種族がいる。でも半分以上はソルだと思えばいい。僕たちみたいに、髪と目の色がバラバラな種族のことだ」
「ジャンは?」
「あいつはアストショッドだ。アストショッドは本来、ザハルアルバリー《開かれた背中》っていう山に集落を作って住んでいるんだけど、あいつの場合、山を降りてこの街に居住を構えてしまっているね。珍しいケースだよ」
「なんで?」
「僕に訊いてどうすんの。本人に訊けば?」

 ヒフミは指を二本立てた。

「ソルはさらに二種類に分けられる。コーレニとオリクトだ。コーレニは植物寄り、オリクトは鉱物寄りの種族。それぞれ司る植物なり鉱物なりがある。その種類の全てを覚えているのは、記人くらいだろうね。
 そして彼らはそれぞれ連合国を作っている。連合国は細分化された領地の寄せ集めみたいなもので、由緒正しい家柄の者たちが、それぞれの領地を治めている。
 ちなみにラワァーレ家はコーレニで、ラベンダーを司っている」
「そういえば庭に……」
「だからロッソは『見てのとおり』って言ったんだよ。意味分かった?」

 シュクルは頷いた。

「あなたにも司っているものがあるの?」



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あきゅろす。
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