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2.ふたりの時間を、

あなたは忙しいから、
少し淋しいの

ふたりの時間を、


『恭弥』

「…」

『恭ちゃん』

「…」

『きょーやぁ…』

「…何なのさっきから」


何度も何度も名前を呼んで、やっと返事をしてくれたけど、恭弥の視線は手元の書類から離れない。

そんなのなんで中学生の恭弥がやってるのさ。


「僕が並盛の秩序なんだからしかたないでしょ」

『…なんで心の声には応えるのよ』


だいたい愛しの(?)恋人が目の前にいるっていうのに、何にもしないってどういうことよ!


「ワォ、何かして欲しかったの?」

『ほっとかれるよりまし』


それでも恭弥は書類と睨めっこをやめない。

恭弥は忙しいから、しかたないって言えばそうかもしれない。でも、最近はほとんど会えてないんだよ?

恭弥は私といなくても平気なのかなぁ…。


『…せっかく誕生日なのに』


久しぶりに呼ばれたから嬉しくて、大好きな人と過ごせる誕生日は生まれて初めてだったから。


「何泣いてるのさ」

『Σ!?』


突然後ろから感じた温もり。耳元から聞こえる声。


『…泣いてなんか…っ』

「せっかく今日のために仕事終わらせたんだから、そんな顔しないでよ」

『仕事…終わったの?』

「ついさっきね」


机を見ると、さっきまでいろんなものがあったのに、今は綺麗に整頓されている。


『それじゃ、これからは構ってくれるの?』

「じゃないと仕事終わらせた意味ないでしょ」


一度恭弥の腕から抜け出て、向かい会う形でもう一度抱き着く。優しく受け止めてくれる恭弥。

幸せだなって思う。


「淋しい思いさせたお詫びをしなきゃね(妖笑)」

『…え』

「何かしてほしいんでしょ?ほっとかれるより」

『あ…//』

「いっぱい愛してあげるよ」


そう言って妖しく笑った恭弥は、悔しいけどかっこよくて
忙しいのに時間を作ってくれたのが嬉しくて
私は恭弥の胸に真っ赤な顔を押し付けた。


ふたりの時間を、
(この日を一緒に過ごしたかったのは僕も同じ)


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