02 静かに目が覚めた。窓から部屋に入ってくる穏やかな日差し。 『ずいぶん、寝ちゃったなぁι』 それにずいぶん懐かしい夢を見た。 あれからもう十年。 今、私の隣には君はいないけれど。 『…綺麗な青空』 窓から空を眺めると、澄んだ青空。 ベッドの脇に置いたままの携帯に手を伸ばす。履歴の1番上。愛しいあなたの名前。 聴こえる電子音。 「…悠姫?」 『綱吉』 十年も前から変わらぬ愛しい人。 「どうかした?」 『んーん』 「オレ今仕事中なんだけど?」 『知ってる』 最初はすごく心配そうな声で、何にもないと分かると呆れたような声。 「悠姫さぁ…ι」 『ん?』 「昔っから思い付いたらいつでも電話してくるよね」 『へへっ』 「今は誰もいないからいいけど…「おいダメツナ。仕事ほっぽいて電話とはずいぶん余裕だな?」…リボーン!!」 綱吉とは違う声。声のやり取りだけでその状況が思い浮かぶ。 『リボーン、たまには私に綱吉を返してよ』 「夜には帰してるだろ」 『足りない』 「…ちっ、ずいぶんわがままなお姫様だぜ「いいから携帯返せよ!…悠姫!?」」 『綱吉、今日は早く帰ってきてよ?』 「うん…ι頑張るι」 忙しくても、電話をしたら応えてくれて。 それは十年経っても変わらない。 だから、私も甘えてしまうのかな。 声が聴きたくて (空を見ては君を思い出す) (心に君が浮かんだら) (優しい声が聴きたくなる) [*前へ] |