05
綱「あーあ…ι」
『くすくす…おつかれですか?』
夜に婚約者様(偽)の部屋を訪れることは、毎晩の日課になっている。
もともとはパーティーのために来ていたのだけど、そのパーティーが終わったあとも、ついつい来てしまう。
綱「骸が帰ってくるとは思わなかった」
『それですか…ι』
大きなベッドの上に綱吉さんは俯せに寝て、私はその頭の近くに腰掛ける。
『悪い人ではなさそうですよね』
ブラックリストには載せたけど。なんとなく危険だから。
綱「ただの変態」
『………あはは、』
はっきりと言い捨てる綱吉さんに、私は渇いた笑いをするしかない。
綱「姫に手出すし…」
拗ねたようにつぶやくこの人が、なぜだかすごく可愛くて、なぜだかすごく…嬉しかった。
『…ヤキモチですか?』
綱「Σ!//////」
勢いよく跳び上がった綱吉さん。
その顔は、すごく…真っ赤…?
綱「…姫?」
『あ、//////』
綱「顔、あかい…//」
綱吉さんの顔を見てられなくて、目を逸らす。
綱吉さんがそっと私の頬に触れた。
『っ…/////////』
前にも一度聞いたことがあった。あの時は、綱吉さんが獄寺さんにヤキモチを妬いて…?
綱「俺が、誰に…?」
誰に…?
骸さんに…?
私に…?
『わ、わかんないです…っ//////』
綱「姫…」
綱吉さんが、近い。
どうしよう…。
熱い、
『…っ私!///』
綱「姫?」
綱吉さんが私の名前を呼ぶ。
いつものことなのに、いつものことなのに…!
『今日はもう失礼します…!』
綱「姫!?」
頬に触れる手を振り払って、走り出した。
後ろで焦ったような声で私を呼んだけど、振り向かない。振り向けない。
立派なドアを勢いよく閉めて、そのまま自分の部屋まで一直線。
顔はまだあかいまま。
耳も熱いまま。
胸がいたい。
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