07 ☆綱吉SIDE☆ 『綱吉さん…っ』 「………」 『綱吉さん!!』 さっきから姫が呼び掛けているのにお構いなしで歩き続ける。手を繋いでいる状態の姫も俺と同じスピードで歩く。 『ちょ…早い、ですっ』 姫がそう言う。やっと俺は止まったけど、顔を合わせることができない。 『…怒ってます?』 「当たり前」 『Σ即答ですか!?』 怒ってるかって?そんなの聞かなくても解りきってる。 『綱吉さ…』 「姫」 何回も俺の名前を呼ぶ姫と、やっと目を合わせた。 「危ないことすんな」 「うちのお姫様が大変だよ」 恭弥さんがそう言ってきたときは、心臓が止まるかと思った。 「あんまり心配させんなよ」 あの女が腕を上げたのを見て、俺らしくもなく焦った。咄嗟に飛び出て、庇っちまったけど…。 『…ごめんなさい』 申し訳なさそうにうなだれる姫を見て、少しずつ気持ちが落ち着いてくるのがわかった。 「次あんなことがあったときは、すぐ俺を呼んで」 『…わ、私、そんな弱くないですよ…?(女性が相手なら)』 綱「俺がそうしたいんだよ」 『………ああいうのは慣れてるから大丈夫です』 「(慣れてるってなんだよ)…いいから」 まだ納得できない様子の姫。 「わかった?(黒笑)」 『は、はいっ!』 少しだけ黒いオーラを出して言うと、素直に頷く。 「…さて…戻るか」 『あ…綱吉さん、頬大丈夫ですか?』 会話が途切れて、居づらくなった俺は、戻ろうとする。そんな俺に、心配そうに眉を寄せて問い掛ける姫。 「こんなのべつに痛くないよ」 『でも冷やした方が…』 「面倒」 まだ何か言おうとする姫を黙らせて、先を歩く。 『綱吉さんっ』 早足で着いてきながら、少し大きめの声で言う。 『さっき庇ってくれて、ありがとうございました!』 そんなことを可愛い笑顔で言うもんだから、俺の心臓が急にはやくなった。 (綱吉さん、なんで出てきたんですか?)(…なんとなく?)(あ゛ー戻りにくいじゃないですかぁι)(隼人あたりがうまくフォローしてるよ、多分) [*前へ] |