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4:知っていること
私も彼も動かない。喋らない。見つめ合いが続く。
先に口を開いたのは、彼。




ツ「…あ、あのっ///」


『!?………はい』




かけられた声によって、意識が現実に戻る。




ツ「さっき…オレの名前呼んだ…よね?」




聞かれていたんだ…やっぱりこの少年は沢田綱吉…。




『………(どうしよう)』


ツ「えーと…君、並中の人じゃないよね?」


『…(コクン)』



問い掛けに小さく首を動かして答えつつも、これからのことを考える。

この人が沢田綱吉だということは間違いない。きっとここは…20…いや、25年ほど前の世界らしい。
バズーカの誤作動か…とにかくいつ帰れるかも解らない。…どうごまかせばいいの?




ツ「なんでオレの名前を知ってるの?…まさか…またリボーン!?」


『…リボーン』


ツ「やっぱりリボーン関係かよ〜!!」




情けなく叫ぶ。元の時代の彼からは想像もできないほど、この少年はまだ幼い。




ツ「と、とにかくこんなところにいたら風邪ひいちゃうよ!」


『あ…』




言われてみると、私も彼もずいぶん雨に濡れてしまっている。このままでは確かに風邪をひくかもしれない。




ツ「…オレの家、すぐそこなんだ」




困ったような笑顔。こんな顔…知らない。



ツ「とりあえず行こうよ、リボーンもいるし…落ち着いて話せないでしょ?」


『や、でも…っ』


ツ「いいから!ほらっ」




渋る私に手を差し延べて催促をする。私はその手を、掴むことができない。




ツ「…?…あ…っ////だ、大丈夫だよ!オレん家、すごく人多いからさっ/////」




動こうとしない私に、何を思ったのか顔を朱く染めて否定する。
少しだけ可愛いと思ってしまった。
安心させるために、そんなこと思っていないと言うように笑うと、ほっとしたのか、彼も微笑んだ。




ツ「早く行こ!」




幼い沢田綱吉は、私の手を掴んで走り出した。
私に向けた笑顔は、やっぱり私は見たことのない顔で。…本当に少しだけ、胸の奥が高鳴った。


(笑顔さえもこんなに違うのに)

(私はこの手の暖かさを)

(…知っている)


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