中編 終わりと始まりから。‐1 ─── いつか、いつか、あのキラキラと輝いて見えた光景がまた戻れば良いと、何度考え、願い、求め、しかし現実を見ては絶望したのだろう。 「彼ら」はここに戻らない。 まるで初めからそうだったように、彼らの視線の先にはたった一人の生徒がいた。 俺を押し退け、大きな声で俺の存在を吹き飛ばし、彼らを丸ごと根元から引き抜いてしまった。 「生徒会」という花壇の中に咲いていた花たちはもう消えて、1本の枯れかけた花だけを残しただけだった。 水も光も栄養もその「花」だった植物に与えられることがなく、ただ朽ちていくのを待つだけ。 大輪は毒を持っている。 感覚器官を、精神を、目を、黒く塗り潰してしまうような、とても強い毒を、口を開く度に振り撒いている。 解毒薬は、たぶん、ない。 カレンダーを見て思うのは、たった1ヶ月でこの狭い世界を変えた存在に対する何かでも、彼らに対する何かでもなく。 ただひとつ、今まで考えたことがなかったもので。 俺は。 なんで、ここにいるんだっけ。 なんのために居るんだっけ。 なんのために動いているんだっけ。 それまでの俺はどこかへ行ってしまった。 代わりに、能面のような表情の俺がここに現れた。 もう、笑顔とか涙とか怒りとか、何だろう。そういう豊かな感情?興味?どうやって表してたんだっけ。 一体俺は、何をして居るんだっけ。 『もう、無理をしなくて良いんだよ』 親のように、彼は言った。 無理をしているように見えるのは仕方のない事だった。俺にとってあれは、地獄と同じだったのだ。 白い部屋で、彼は泣きそうに歪んだ顔で、小さく深く謝罪した。 進路の事は心配しなくていい、と、先の事についても色々と手を尽くすという話を、彼はゆっくりと語る。 俺はただ、その揺らぐ瞳を見つめた。 光はなかった。意思も希望も欲すらも、きっと彼は感じ取れないだろう。 思ってもいないことを感じ取れるわけもないのだから。 -------------------- アンチ王道のその後。 一匹狼×元会長 R18 [→#] [戻る] |