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中編
期待<不可解。(+妨害)
 


 指の間、付け根を舐められた瞬間が特に酷く腰に響いた。
 ぞくぞくする。息がしづらい。恥ずかしい、嬉しい、けど、宇佐見が分からない。



「…ッ、ん……っ」



 ねっとりと舐められた中指が、そのまま流れるように宇佐見の口にふくまれていく。
 暖かく、舌の柔らかくふわふわした感触を中指が感じ取って、緩慢な動きで舌が指を撫でていく。


 まるで、焦らすようなフェラをされてる気分になる。その攻撃の波が下半身へと流れてくるようで。


 それを続けながらも、ずっと目をそらせなくて、見つめあう。


 どうして。
 なんで、なにを考えて、俺にこういうことをするの。


 疑問と期待が混ざって、ゆれる。



 宇佐見の事が好きな俺からすればこれはとんでもなく喜ばしいことなのに、でも俺は宇佐見に何も言ってない。
 態度には出てたかもしれないけど、それは友愛としか取れないレベルだったはずで、宇佐見だって、変わらず無表情で無口で趣味に集中してた。


 なのに、なんで。



「───……ん、わかった」



 するりと指が抜け、低い声が聞こえてきて、宇佐見は携帯をポケットに戻した。
 長かった。異様なほどに。


 そして息を弾ませる俺と、一見していつも通りの宇佐見。なんだこれ。



「…はぁ…っ、…宇佐ちゃ、ん…?」



 居た堪れなくなって囁くように問いかけたけど、返事はない。
 ただ、見ている。

 動く気配のない宇佐見。気まずくなってく俺。だから、なんなのさこれ。


 数秒、数十秒か沈黙したあと、また、宇佐見の右手が俺の頬へと伸びてきて、触れた。



「な、に…?」
「……」



 わかんないよ。返事してよ。見つめてくれるのは嬉しい、けど、不安になってくる。なにがしたいの、教えてよ、ねえ。


 するすると親指が頬を撫でて、流れるように、その指が下唇に触れる。
 宇佐見の視線は、そこに向けられていて。



 自分の鼓動しか聞こえない。うるさいくらいに高鳴ってる。


 そして気付く。
 また再び目があったのと、なんか、距離が近くなってるような。


 あ…これは、ちょっと、どうしよう。


 頭の中はそればっかりなのに、視線が外せなくて、距離が縮まっていって。


 このままじゃ俺、宇佐見に何も伝えられずに、答えも分からずに、なあなあで───


 それでも止められず、力の入らない手は、宇佐見の制服に張り付いたみたいに動かない。



 気づけば鼻が触れ合う程に近づいて、目を細めて、意識が持っていかれる刹那。

 スラックスに入れていた、俺の携帯の電話着信を知らせるバイブレーションが起動した。



「…ふ!?」
「……」



 ぴたりと止まる進行。鼻先が触れる距離で、見つめあった。



「……出れば」



 至近距離のまま、宇佐見が言った。



 

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