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中編
お悩み相談の結果。
 

 ───目が覚めたら、目の前に羽田の寝顔があってびっくりして飛び起きた。
 伴って思いっきり布団を剥がしたせいで寒さに目覚めた羽田に蹴られて布団を奪われ、寒くて奪い返して、そのあとは布団の争奪戦。


 落ち着いて時計を見たら、11時だった。


 昨夜はあれから風呂に入り、何だかんだ夜中1時くらいまでひたすら俺の悩み相談が続いた。
 それで結局、羽田の「とりあえず様子見」という言葉で寝ることになり。
 で、寒いからって俺が無理矢理ベッドに詰めて入り込んで男二人で布団の取り合いしながら、気付いたら朝だった。



「…腹へったな」
「ね。まさか昼まで寝るとは思わなかった」



 お互い着替えるのも面倒で、スウェットのまま洗面所で顔を洗ってリビングに入る。
 羽田家の両親は共働きなので、朝から居ない。どうせ休みだからと起こさないでくれたようだ。


 羽田母が昼御飯を作っておいてくれたみたいで、冷蔵庫を覗いていた羽田がラップに包まれたおかずの皿と冷凍庫に入ってた小分けのご飯を出した。
 明らかに二人分以上で、本当、羽田母は優しい。ありがたい。


 手分けして朝食兼昼食を温め、飲み物を用意してリビングのテーブルに置いて、テレビを点けたら昼のバラエティー番組がやってたからチャンネルは変えなかった。



「いただきまーす」
「いただきます」



 きちんと手を合わせてから、空腹を訴える胃袋にご飯を与える。


 昨日の相談のおかげで、とりあえずごちゃごちゃだった頭の中はある程度すっきりしてる。
 ただまあ、宇佐見には申し訳ないことした。いきなり走ってきて羽田連れて、何も説明なく帰っちゃったし。


 あの一瞬初めて、宇佐見のぽかんとした顔を見た。
 もっと見たかったけど、俺はとにかくあの時大森から逃げたかった。
 あの告白の意図はわからない。
 本気なのか冗談なのかって考えたら、タイミングが微妙過ぎてどうしても「冗談」の方に傾く。

 だから羽田は、様子見するしかないと言った。
 これから大森がどう動くかで判断が変わっていく。冗談なら冗談でいいけど、「けど」だよ、本気だったらそれはそれで困るんだよねえ…。


 俺は宇佐見が好きだし、宇佐見以外には同性に恋愛感情は抱けないと思う。だって宇佐見に対する俺のこの気持ちは、男だから女だからって関係なく「宇佐見裕弥」にあるんだから。


 それに、大森だってゲイなわけじゃないと思う。羽田は色々知ってるから、あんまり本人と親しくなくても情報は入ってくるし入手出来るみたいで、今まで大森に同性の恋人はいないし、しっかり女と付き合ったりしてたらしいし。
 男しか恋愛対象にならないって事実は、実際その本人にしかわからない。だから大森が本当はゲイだったりするんじゃないかって可能性はなくもない。


 その他いろんな事を踏まえての、様子見。


 とにかく普段通りにすれば、基本的に大森と関わることはない。今までだってそうだったわけだし。
 もし、本気だったら。


 大森は、俺が宇佐見を恋愛対象として好きだと知らないとは思ってるけど、この際名前は言わずに好きなひとが居るとかきっちり断るしかない。
 杞憂であってほしい。ていうか杞憂であれ。まじで。




 そんな願いを込めつつ、何だかんだ振り替え休日を満喫しました。


 

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