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中編

 


「───上手くいったかなあ」
「ん、大丈夫っしょ」


 日付が変わった深夜二時、俯せに枕を抱えて呟いた楓の隣で、毛布と一緒にその体を抱き寄せた晃が嬉しそうに返した。
 部屋には暖房の温もりが行き届いているので、毛布一枚あれば裸でも過ごしやすい。


「しっかし、珍しいな、楓が嗾(けしか)けるなんてさ」
「うん…自分でも驚いてる」


 ファミリーレストランを後にした三人は、そのまま近くのゲームセンターに赴いて思い切り遊んだ。
 レーシングゲームも、音楽系のゲームも、UFOキャッチャーでは晃が大きなぬいぐるみを二つも取って、犬は透司に、猫は楓に渡された。他にも色々なゲームをとにかく楽しみ、透司をアパート前まで送り届ける頃には8時を回っていた。

 康之が帰宅する頃にも不在になる場合はいつも透司が自主的に連絡を入れていたのだが、楓が「今日はしないままにしよう」と言ったのである。
 透司は気にしていたが、一緒に居ることは分かっているし家の前まで送る事も分かってるから大丈夫だ、と説得した。


 送り届けた後に楓と晃が携帯を確認すると、それぞれ康之から二件の不在着信と三件のメッセージが入っていた。
 楓に対しては別に「反省しています」という一文が追加されていたのを思い出して、子供を相手にしているみたいだと笑みが浮かんだ。

 なんて可愛らしい二人なんだろう。

 再び抱いたその愛しさが溢れていたのか、抱き締められている晃の腕に力が籠った事に気付くと、楓はまた静かに笑った。
 ここにもいたか。


「どうしたの」
「……今は俺のことで一杯になっててほしいなーって」
「、いつもいっぱい」
「あ〜、楓が小悪魔になってくう」
「……なんでまた元気に…っ」
「楓が可愛いからです」


 なんとも自分の周りには可愛い年上の多いことだ、と、楓はキスをねだる恋人に応えながら思った。













 翌朝遅めの時間に起きると、透司からメッセージが届いていた。
 通知時間は楓たちがやっと寝付いた明け方頃で、それは短く、康之さんが淡白は嘘だ、という情事に関する分かりやすい内容だった。



END

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あきゅろす。
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