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中編
05
 


 注文したランチが届いて、それを食べながら色々な話をした。

 亮平さんは23歳の会社員で独り暮らしをしていて、昔から趣味で色々なゲームをしているのだとか。3つ下の弟がいて早くに母を亡くした父子家庭だと教えてくれた。
 血液型はO型、誕生日は6月。
 一年以上は一緒にゲームをしているから年齢や職業、食の好みとかお酒は強い方だとか、喫煙者であることもバイト先でいつも買うから知っている。

 俺は両親がいて一人っ子だとか性癖とか詳しいことは亮平も知っているから特に言うこともないんだけど、とりあえず同じように自己紹介をしてみた。

 実際にゲイと顔をあわせて気持ち悪くないのか、と聞いてみると亮平さんは俺自身驚くくらい平然としていた。
 知らなかったとはいえ、バイトで何度も会ってるし最近は会話もしてたから俺もあんまり違和感が無かったけど、プライベートで会うのとはまた違うからとは思っていた。杞憂だったらしい。


「俺は今日ずっと楽しみだったんだよ。美咲は不安だった?」
「いや、楽しみでした。やっぱカッコいいなぁと改めて思ったし」
「……、美咲にそう言われると嬉しいなー、期待外れじゃなくて良かった」
「…自分で言っといてなんか恥ずかしくなってきた」


 あとマジで名前呼びしんどい。耳がしんどい。
 自然に呼んでるけど慣れないし声が良すぎるし、自分の言葉も思い返すと恥ずかしいしダブルパンチ食らってる気分。
 思ったことすらすら言い過ぎた。


「そんな恥ずかしがらなくても。俺は素直な人好きだよ?」
「あー…亮平さんタラシっぽい」
「お、言うねえ。誑してるつもりはないけどなあ」
「分かってますけど、なんか本当に声が…」
「美咲は俺の声好きだなぁ」
「……っ、す、きですけど!その声で呼ばれたくないマジで耳から死ぬ」
「ふ、はははっ、素直すぎ…!なに耳から死ぬって、ホント面白い」


 急に熱が上がって顔が熱くて手で扇ぎながら向かいを見ると、くしゃりとした笑顔にまた変に緊張した。
 なんかとんでもない事言った気がする。
 調子狂うな、と思いつつランチに付いてきた冷えたお茶を飲んだ。






 早めの昼食を済ませ喫茶店を後にして適当に歩く事になった。土曜だから休みの学生が多い。
 知り合いに合ったら面倒臭いなと一瞬思ったが、亮平さんもそうだったらしくて「駐車場が近いから車出してドライブでもしようか」と提案が出された。
 ゆっくり話せるし話題も出そうだから良いかなと特に抵抗もなく了承すると、駐車場まで向かった。本当に近くにあって、亮平さんの車を見て似合ってるなーと暢気な感想を抱く。


「どーぞ」
「どうも、」


 助手席に促され乗り込むと扉を閉めてくれて、大人だなとまた感心する。父の車で助手席に乗ることは沢山あったけどそれとは違って妙に落ち着かない。
 駐車場から車を出す姿を無意識に眺めていて、目が合うとそれを自覚して恥ずかしくなってしまった。


 


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