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中編
03
 


『───で、新しい友達が出来たって教えて貰えなかったから拗ねたんだ?』
「違います…っいや違わないけど、そこはもういいんですよ、言わないことなら俺もあるし…」


 高性能な銃をぶちかましながら聞こえる笑い声はなかなかに危険な感じがしたけど、そんな笑い声も良い音なもんだからちょっと腹立つ。
 バイト終わりに早速ログインしたゲーム内には既にリョウさんが居て、幼馴染みとの会話で抱いた違和感やらをボイチャで愚痴ったら冒頭の言葉である。

 いや別に何でもかんでも話したりしてるわけじゃない。お互いに接点のない友達だっているし言わないことや言えないことだってあるのだから、いつの間にか宇佐見と仲良くなってたとかいう話はこの際どうでもいい。
 俺がどうしても拭いきれない違和感は、カメが宇佐見に対してどんな感情を持っているかという疑問。他の友達とも俺とも違う意識を持っているような気がした。
 だけど、それを知ったからと言って俺にはどうすることも出来ない。


「好きになって、勝手に抱え込んで辛くなって嫉妬してるだけです」
『……そうかぁ』
「まあ、気のせいですよ。バカみたいにモテるから」
『ふ、本当、話聞く限りじゃかなりモテモテじゃん』


 あいつの何が魅力なのか、相手によって違うだろう。でも、それほどまでに男女問わず好かれるものがカメにはある。
 そんな途方もない感情に嫉妬しても、やり場のない掃き溜めばかりが面積を取って邪魔になる。


『ハイネくんもモテそうだけど』
「えー…、告白されたことはありますけど、興味なくて」
『一途だなあ』


 良いな、という小さい呟きに「リョウさんだって絶対モテるじゃないですか」と笑うと、リョウさんは『俺は今ちょっと気になる人がいるから』と良い声で言った。
 その言葉に少しだけチクリとした感覚を抱いて、何故か分からずに暫く混乱してしまった。

 そりゃ、いるだろ。
 つか好きなヤツが居るのに何でリョウさんに気になる人が居ると嫌な気持ちになるわけ、何考えてんだアホか。
 たかがネットゲームで仲良くしてもらってるだけだろ、いくら会ってみたいとか言ってもらったからって舞い上がってんじゃねえっつの。
 リョウさんにとって俺はたぶん弟みたいな感覚だろうし、俺も兄みたいな感覚で尊敬するところもあって、人には言えないことを知ってたり相談やら愚痴やら聞いてくれる好い人なんだから。
 イケボに釣られんなボケ。

 なんて咄嗟に自分へ罵詈を投げた。


『どうした?』
「いや…良い声だなと」
『ふはっ! 何だろ、ハイネくんに言われると照れるわ』
「何でですか…」
『いやわっかんねーけど』
「なんすかそれ」
『なんだろね』


 楽観的な笑い方だった。何だかんだ言っても思っても、やっぱりリョウさんとの会話は楽しい。


 

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